「チーム担任制」静岡市内2小学校で本年度試行 多様な視点、教員の負担軽減にも
静岡市内の小学校で、学級担任を固定せず、複数の教員が学級内での児童の指導や事務的作業を担う「チーム担任制」の試行が始まっている。市教委は本年度、竜南、東源台の2校を研究校に指定。多様な視点で対応することで、子供の良さや変化に気付く機会を増やすだけでなく、教員の負担軽減にもつなげる。 チーム担任制は多面的な情報収集ができるほか、教員それぞれの得意分野を生かした仕事ができ教育活動の質の向上や負担の分散も期待される。子供や保護者側には話しやすい先生を見つけられるといった利点があり、全国で拡大。県内でも私立中・高を中心に取り組みが進められている。 静岡市内では昨年度、城北小が独自に試行した。興津歩校長は自身の経験も踏まえ「小学校教員は『自分のクラス』『隣のクラス』と区別しがち。同じ子供と接する時間が長い分信頼関係が築けるが、一度崩れた時の修復が困難で、小学校こそ子供たちを多角的に見守る必要がある」と意義を強調。時間割の組み立てなど難しさはあるものの、一部で教科担任制が可能になったり習熟度別の授業を始めたりと、柔軟な学校運営につながりつつある。 研究校の竜南小は、チーム担任制の一環で新1年生の学級編成を5月に行う。約90人を暫定的に3学級に分け、入学後1カ月間は「学年担任」の3人に級外教員と管理職を加えて対応する。「早く学校やクラスに慣らそうと無理をするのではなく、さまざまな角度から子供たちの個性を見て編成したい」と井上聖一郎校長。近隣のこども園などのサポートも受けて正式に学級編成した後も、複数教員での関わりを続ける。 東源台小は昨年度末から、学年ごとに一部の授業を教員が交代で行うなどしてきた。本年度は朝の会や給食、掃除をローテーションで指導するほか、可能な範囲で教科担任制を取り入れたり合同授業を行ったりする予定。児童に定期的にアンケートし、効果を検証する。望月伸浩校長は「社会が劇的に変化している時だからこそ、学校もアップデートしていく必要がある」と話した。
静岡新聞社