サウナは本当に体にいい? 医師に聞く「リスク」と「正しい利用」のためのヒント
フィンランド最古のサウナの歴史は約2000年前にまで遡るというが、いわゆる「温熱療法」は長い間、癒しと回復のためのものとみなされ、あらゆる健康法と関連しているとされる。だが、サウナは本当に健康にいいものなのだろうか? 【写真】個室やカスタマイズも可! 大人の女性におすすめしたい“おしゃれサウナ”7選 イギリスのヘルスケア・医療保険グループ「ブーパUK(Bupa UK)」の臨床部門の副主任、ルーク・パウルズ医師によれば、利用においてはいくつか注意すべきことがあるそう。サウナを最大限楽しむためにきちんと把握しておきたいサウナの健康効果と安全で快適な利用法について、改めてここでおさらいを。
そもそも本当に健康にいいの?
日本のサウナ施設や温泉施設では、様々な種類のサウナが提供されている。加熱したサウナストーンを使って室内の空気を温めるドライサウナ、熱した石などに水をかけて蒸気を発生させるスチームサウナ、赤外線を利用して体を内側から温める赤外線サウナなど、サウナには複数のタイプが存在。 サウナに入ると、急激な温度の上昇によって循環器系、呼吸器系、心血管系、そして免疫系の働きが促進される。生理学的な反応としては、目に見えてわかる発汗のほか、血管の拡張などがある。そして、サウナに入ることで体に起こるこれらの変化が、健康上のメリットをもたらすとされている。 東フィンランド大学の研究者によれば、定期的にサウナに入ることで消化や呼吸、心臓の拍動などの身体機能を司る自律神経系を安定させ、ホルモンの変動を刺激し、ストレスや痛みを和らげるエンドルフィンの産生を促進するという。 さらには、血圧の低下、炎症や酸化ストレスの軽減、悪玉コレステロールの血管壁への沈着の抑制などといった効果もあるそう。
期待できる健康効果
トレーニング後の疲労回復が早まる、リラックス効果があるなど、定期的にサウナを利用することが健康にもたらすメリットには、さまざまなものがある。パウルズ医師は、「熱には筋肉を緩め、神経の末端を落ち着かせる効果があります」「これにより関節痛を軽減し、筋肉の柔軟性を高めることから、筋肉の成長を早めることにも役立ちます」と説明。 また、就寝前にサウナに入ると、出た後の体温の低下によってよく眠れるようになる。そのほかサウナには、心を落ち着かせる効果や、病気や深刻な症状の予防・治癒に関わるメリットもある。 フィンランドの伝統的なサウナの効果に関する論文の文献レビューの結果では、定期的なサウナの利用は次のような効果と関連があると指摘されている。 ・高血圧、心臓病、脳卒中のリスクの軽減 ・風邪、感染症のリスクの軽減(健康な人の場合) ・変形性関節症、関節リウマチ、線維筋痛症など筋骨格系疾患に関連した痛みや症状の改善 ・認知症、アルツハイマー病など神経認知障害のリスクの軽減 ・呼吸器系疾患(慢性閉塞性肺疾患、ぜん息、肺炎など)のリスクの軽減 ・非血管性の疾患(肺疾患から一般的なインフルエンザまで)のリスクの軽減 ・心臓突然死のリスクの軽減 ・頭痛障害の改善 ・乾癬など皮膚疾患の症状の改善 ・健康面と関連した生活の質の向上