「能登はあきらめず今も戦い続けている」京都で被災地支援のコンサート 収益は音楽での慰問や楽器修繕に
昨年1月に最大震度7を観測した能登半島地震の被災地を支援する「復興応援コンサート」が、京都府長岡京市の府長岡京記念文化会館で開かれた。石川県を本拠地とする「オーケストラ・アンサンブル金沢」(OEK)が、「祈り、安らぎ、勇気」をテーマに演奏。来場者は1年間を通じて災害と戦い、復興に向けて歩む被災地に思いをはせた。 OEKは、世界的指揮者で京都市交響楽団(京響)の首席客演指揮者も務めた故・岩城宏之氏が創設音楽監督となり、1988年に石川県と金沢市が設立した。現在は京響で常任指揮者だった広上淳一さんが「アーティスティック・リーダー」に就いている。 コンサートは昨年9月~今年3月にかけて11府県22カ所で開き、収益の一部は音楽による慰問活動や学校の楽器修繕などの被災地支援に充てる。広上さんに師事した松井慶太さんが指揮を務め、フルート奏者Cocomiさんと共演した。 はじめにOEKの本拠・県立音楽堂の表正人館長が、故郷・珠洲市の被災状況や避難生活、昨年9月の豪雨被害に触れ、「神様はいるのかとさえ思ったが、能登の人たちは諦めず、半歩ずつでも進もうとしている。過去の災害ではなく、今も戦い続けている」と語った。 コンサートは、作曲家池辺晋一郎さんが同地震を受けて書き上げた「祈り、そして光-能登半島地震犠牲者の鎮魂として」の演奏で始まり、バッハ(グノー編曲)「アヴェマリア」やフォーレ「シシリエンヌ」などに続いてクリスマス曲メドレーを披露。休憩時間中は楽団員がバケツを手に募金を呼びかけ、来場者が善意を届けた。 その後、モーツァルトの交響曲第41番「ジュピター」でクライマックスを迎え、800人超の聴衆から大きな拍手が贈られた。アンコール曲は唱歌「ふるさと」で、会場には歌詞を口ずさむ歌声が響いた。