「もう何が何かわからない」実家がモノ屋敷に! 「片付けたい息子」と「絶対に捨てられない母」の長き攻防の顛末
■“立派な大型家具”はゴミにしかならない スタッフ4人で大型家具を次々と2階から外へ運び出していく。高齢者が住む家ほどしっかりとした高級家具が多くあるというが、そのほとんどが持ち主を離れた途端に価値を失ってしまう。 「高度経済成長期以降、住宅設計において収納スペースの確保が重視されるようになりました。一方で、高齢者の方たちは家を借りたり買ったりしたら、同時に収納家具も揃えるのが当たり前でした。 それこそ団地の設計図を見ると、収納家具は自分たちで揃えることが前提の間取りになっています。
でも、立派に見える民芸家具や婚礼家具は、今はほとんど値がつかず、残念ながらゴミとして扱われます。捨てるのももったいないので、タダ同然の価格で海外の貿易に回しているのが実際のところです」 売りに出しても0円にしかならないのでとっておきたいという人もいれば、どうせ0円なら今のうちに捨ててしまおうと思う人もいる。 親の気質によって左右される面も大きいが、生前整理は子どもの思い通りにはならなくて当たり前だと覚えておきたい。
だからこそ、ゆっくり時間をかけながらよきタイミングが訪れるのを待つしかない。この親子の場合、入院によって母親が一時的にでも家を離れたことが皮肉にもきっかけとなったのだろう。
國友 公司 :ルポライター