【横山杯】近大附は前半は強みを発揮するも....全国有数の名門の底力を体感
12月27日にあった横山杯第25回全国ユース招待サッカー大会順位別リーグ決勝第2グループの近大附(大阪)は先制したものの、後半に逆転されて市立船橋(千葉)の伝統の粘り強さ、全国有数の名門の底力を体感した格好となった。 【フォトギャラリー】市立船橋 vs 近大附 184センチのCB咲本大(2年)が束ねる守備は堅ろうで、左ウイングバック山内零旺(2年)が旺盛に仕掛けるサイドアタックは速さと迫力を併せ持つ。189センチの大型ボランチ廣谷碧斗(2年)は攻守にアグレッシブで、セットプレーになると相手にとっては脅威の的だ。技術が高く視野の広い川田太陽(2年)、軽やかなドリブルが魅力的な川西啓斗(1年)の2シャドー、1トップを担当する筒井琉生(2年)はキープ力が高く最前線で柱となるFWだ。 前半はこういった強みをいかんなく発揮し、35分にわたってほぼ主導権を握った。 12分の先制点は左サイドで獲得したFKからだ。左右CKのキッカーも担う川西が絶好のボールを配給すると、咲本が完ぺきなヘディングシュートを決めた。 咲本は今夏、U-17日本代表に選出され8月の広島国際ユースに出場した逸材だ。 近大附の前半の得点はこれだけだったが、内容からして後半に加点する可能性は高いと思われたのだが……。 母校に赴任して9年間コーチを務め、昨春から指揮を執る寺師悠斗監督は「最近のチームはもう少しのところ、あと一歩のところで勝ち切れていないんです。インターハイ予選にしても3年続けて代表決定戦で負けたこともあります」と残念がると、「でもイチフナさんのような名門校の強さを体感するためにここに来たのですから、選手も私もいい経験をさせていただきました」と謙虚に語る。 近大附は全国高校選手権に5度、インターハイに9度出場した強豪だが、選手権には2011年の第90回大会以来、13年代表権を獲得できないでいる。 それだけに寺師監督も「こういう大会に参加し、各地の強豪と対戦することで力を付けていきたい」と話すと、「母国を率いるのはプレッシャーもありますが、楽しいし幸せです」と述べた。 前線で攻撃陣を引っ張る筒井の思いも指揮官と同じだ。「大阪だとイチフナのように全国大会で何度も優勝しているチームと対戦する機会がないので、格上とやれて感謝しています」と、すがすがしい表情で語る。ただ「強豪だからこそ気持ちで負けないように戦った。前半はうちの特長を出せて良かった。来年のインターハイ予選までに力を蓄えて久しぶりの全国大会を狙いたい」と来季の目標を口にした。 (写真・文=河野正)