プロ野球 今季気になる、あの崖っぷち問題
プロ野球のキャンプインが1週間後に近づいた。合同自主トレに参加中のルーキーや、南の島から真っ黒になって帰国した選手のニュースが次々と飛び込んできている。12球団を見渡すと、昨季1勝に終わった日本ハムの斎藤佑樹投手(27)や、各チームのベテラン勢など、その進退そのものが崖っぷちにある選手も少なくないが、それとは別に、気になる崖っぷち問題がある。 ひとつは、日ハム、大谷翔平の4年目を迎える二刀流の崖っぷちだ。昨季は、打率・202、5本塁打、17打点と低迷。登板日以外に定位置とするはずだったDHのポジションには、近藤健介が入り、打率.326の好成績を残したため、大谷は降格。「代打要員」となり、2014年に234あった打席数は119と半分近くに減った。“3冠”を獲得した右肩上がりの日本を代表するエースに成長した「投手・大谷」とは対称的に「打者・大谷」は、下降線を辿ってプロの壁にぶつかった。 すでに栗山監督と大谷はオフの間に会談を持ち、今季の二刀流続行の方針も決定した。大谷自身も自主トレでは、バッティングメニューを積極的に取り入れているが、もし今季も、打撃が低迷すれば「打者・大谷」に対して“戦力外”が通告される可能性も出てくるだろう。 昨季は、評論家を兼ねていた掛布雅之氏(現阪神2軍監督)は、「大谷は投手に専任すべき。打席であらゆる準備ができていないし、投手・大谷のレベルをさらに上げるためには、そろそろ決断が必要」と主張していたが、今なお「投手専任」を訴える関係者の意見は根強い。 大谷が、将来の夢として抱いているメジャー側の見方も、ほとんどが「投手・専任」。高額な投資を行う選手に対して、故障や怪我のリスクが高まる二刀流を認める可能性は限りなく低い。「打者としてのポテンシャルは高いが完成度は低い」と語るメジャーのスカウトもいる。 中4日登板のメジャーでは、中6日の間隔を与えてもらっている日ハムとは違い、打者としての準備期間も、試合出場チャンスも少ない。そう考えると、大谷が、いつメジャー挑戦を表明して、日ハムがいつポスティングを認めるかもわからないが、メジャー移籍までの期限付きの二刀流とならば、早めにケリをつけるのも、ひとつの考え方としてはあるのかもしれない。 元千葉ロッテの里崎智也氏は、「チームも大谷の二刀流を認め、大谷自身が意欲を持っているのだから僕ら外野が、ぐちゃぐちゃと言う問題ではないと思う。昨季はバッターとして低迷したが、対策、研究をされた影響で、これは、プロ野球ではよくあること。今季、それを逆手にとってやり返せるかどうか。とにかく彼のチャレンジは、過去に前例のない夢のあるもの。5年後、10年度には、二刀流が当たり前になるのかもしれないし、とことん見てみたいというのが個人的な意見。ただ、近藤は、DH、捕手でなく、外野をやらせれば、大谷をDHに入れることができるし、打線が強化できると思うのだが」と言う。 「結果がすべて」がプロの世界。「打者・大谷」が「投手・大谷」の足を引っ張るのならば、チームにとってそれはマイナスだし、「打者・大谷」が、チーム内のサバイバルを勝ち抜かなけれ、二刀流の説得力は、どんどんと薄れる。