プロ野球 今季気になる、あの崖っぷち問題
里崎氏が、気になる崖っぷち問題としてピックアップするのは、西武・森友哉(20)のキャッチャー再挑戦だ。昨季は、打撃優先のためDHに専念。138試合に出場、打率.287、17本塁打、68打点と高卒2年目の野手として立派な成績を残した。DHを使えないセ・リーグとの交流戦ではライトを守ったが、マスクをかぶることは一度としてなかった。田邊監督は、キャッチャーの再スタートを命じ、秋季キャンプからはキャッチャーの練習に取り組んだ。森自身も「若いんだから守って打てるのがベスト。力も経験も足りず正捕手として厳しいのはわかっていますが、レベルアップしたい」と、キャッチャーへの意欲を失っていない。 それでも、WBC優勝捕手でもある里崎氏は厳しい見方をしている。 「今季、捕手挑戦を途中でやめて、またDHに専念するようなことがあれば、もう『捕手・森』は終わりです。中途半端でやれるほど捕手は甘くはありません。まずは1軍でやれる最低の基本スキルをキャンプ、オープン戦で身につけること。インサイドワークが問題と言われているが、それは経験を積めばできてくるもの」 里崎氏が言うキャッチャーの最低の基本スキルとは『捕る』『止める』『投げる』の3点。 「現状のスキルを見てみないことには、キャンプ、オープン戦の2か月間で、最低のスキルを身につけることができるかどうかの判断はつきません。もしハーフバウンドを後ろにポンポンとそらす、二塁へのスローイングのコントロールも不安定というようなことであれば、1軍では使えないし、2か月程度の練習でスキル取得は無理でしょう。球団、首脳陣が、森を将来的にどうするのかという方針にもよるでしょうが『捕手・森』として育成する気ならば、思い切って2軍に落として最低のスキルを身につけさせるべき。結局、名捕手は、打てるかどうか。もし森が捕手でスタメン出場するならば、西武はソフトバンク以上の最強打線となりますよ」 現状のままならば、2年契約を結んだ炭谷銀仁朗(28)から、捕手の座を奪うことは難しいのかもしれない。だが、里崎氏が指摘するように、「捕手・森」が、一本立ちできれば、チームにとっても本人にとっても将来的な可能性がさらに広がることは間違いない。 プロ野球選手は個人事業主。それぞれの人生のかかった勝負のキャンプインが目の前に迫っている。