アメ車といえばド派手なスタイルのフルサイズセダン!『SPRING Party!』で味わえる50's&60'sアメリカンモーターカルチャー
2024年3月10日(日)、千葉市中央区フェスティバルウォーク蘇我・共用第二駐車場にて、アメリカ車専門誌『アメ車マガジン』(文友舎刊)主催の『SPRING Party!』が開催された。会場には新旧様々なアメリカ車が200台以上集まった。今回はそんなエントリー車の中から往年のフルサイズセダン3台を紹介する。 REPORT&PHOTO:山崎 龍(YAMAZAKI Ryu) 【画像】古き良きアメ車の魅力はやはりド派手なエアロのビッグセダン!
北米での税制改正と燃費規制の強化により政策的に優遇されたSUVがセダンに変わって市場の主役となる
アメ車というと最近はSUVをイメージする人が多いだろう。だが、今から半世紀ほど前まではアメ車のメインストリームはフルサイズの2/4ドアセダンが市場の主役であった。 アメ車のセダンが凋落したのは20世紀末のことだった。もともとアメリカではピックアップトラックの人気が高く、ベストセラーであるフォードF-150シリーズは40年以上連続で販売台数No.1の座に君臨している。そんなピックアップトラックにアフターパーツのFRP製のベッドシェルを装着すると雨で荷物が濡れず、積荷の盗難の心配がなくなる。これはステーションワゴンのように使えて便利だわい、ということで1960年代から徐々に人気を掴むようになる。 「だったら、最初から屋根付きのトラックを作ればもっと便利だろう。屋根がつくのならリアシートも備えたほうが使い勝手も良かろう」と、ビッグ3は工場出荷時から金属製のシェルを備えたピックアップトラック……SUVをリリースするようになった。こうした経緯から北米ではSUVはピックアップトラックと同じく商用車のカテゴリーに区分され、州によって多少事情は異なるが、自動車税は無税もしくは極めて低く、自動車保険の掛け金も安く抑えられている。 とは言え、アメリカ市場は主役の座は依然としてセダンが握っており、SUVは農村部のアシ、もしくはレジャー用というのが一般的な認識であった。それというのも登場当初のSUVは、ピックアップトラックベースということで、実用性本位のシンプルなクルマがほとんどであり、乗り心地は荒く、快適装備も少なく、とてもではないが乗用車の代わりになるようなシロモノではなかったからだ。 この頃のSUVやピックアップトラックは、サイズこそまるで異なるが日本の軽トラや軽バンのような成り立ちであったと言えるかもしれない。故に需要は地方に集中しており、ニューヨークやワシントン、ロサンゼルス、シカゴなどの大都市では、その姿を見かけることは少なかった。 こうした流れが変化したのは今から20年ほど前のことだ。そのきっかけは法人が社用車として使用する乗用車の税制優遇措置が大幅に縮小されたことであった。どういうことかと言えば、乗用車を社用車として購入したときに法人が受けられる税控除の金額が少なくなったのだ。それにに対して「ライトトラック」という商用車にカテゴライズされるSUVの税控除の金額に変更はなく、購入費はほぼそのまま経費で落とすことができたのであった。 加えて、年々厳しさを増すCAFE(燃費規制)により、乗用車はサイズのシュリンクを余儀なくされ、アメリカ人好みのV8エンジンのラインナップが減らされる一方で、「ライトトラック」カテゴリーのSUVは燃費の規制基準が甘く、大排気量V8エンジンの存在が許されていたことも消費者心理に大きな影響を及ぼしていた。その結果、それまでならフルサイズセダンを買っていたようなごく平均的なユーザーが積極的にSUVを選ぶようになり、それによって乗用車離れが加速して、アメリカ市場の新車販売の主役がセダンからSUVへと取って代わられたのだ。 こうした世相の変化に対して、機を見るに敏なビッグスリーは商機があると見るやSUVの商圏を上に伸ばして、ラインナップを大幅に拡充させた。1997年にフォードが高級SUVのリンカーン・ナビゲーターを投入し、商業的な成功を収めると、GMやクライスラーもそれに続いて高価で贅沢なSUVを相次いで市場に送り出したのだ。果たせるかな、それらの高級SUVは消費者のハートをしっかりと掴み、ディーラーの店先に並べる端から飛ぶように売れ、莫大な利益をメーカーにもたらしたのだ。 しかも、SUVの販売には乗用車以上に旨味があった。ディーラーオプションの装着率がセダンに比べて高かったのだ。財布の紐が固いユーザーが、ことSUVになるとルーフキャリアやヒッチメンバー、アニマルバンパーなどの高価なオプションを躊躇することなく次々に購入してくれるのだ。これにはメーカーやディーラーも笑いが止まらなかっただろう。 かくしてビッグスリーはSUVに注力するようになり、1990年代末頃から登場した乗用車ベースのクロスオーバーSUVを加えて、いよいよ拡販路線に突き進むことになる。そして、21世紀に入るとアメリカ発のSUVブームは世界へと伝播し、今に至るというわけだ。
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