【ネタバレあり】令和ロマンくるま&マヂラブ野田、“二人の王者”の思考に迫る 賞レースにおいて大事な能力とは?
※本記事は『最強新コンビ決定戦 THEゴールデンコンビ』全話のネタバレを含みます。 【写真】髙比良くるま、野田クリスタルの撮り下ろしカット 2024年10月31日に配信を開始した、Amazon Original『最強新コンビ決定戦 THE ゴールデンコンビ』(以下、「THE ゴールデンコンビ」)。実力派芸人たちが一日限りのコンビを結成。最強新コンビ=“ゴールデンコンビ”の座を懸け、即興コントバトルを繰り広げる番組だ。 様々なシチュエーションとお題に対し、各コンビが即興コントを披露。200人の観客が「面白くない」と思ったコンビに投票し、一番面白くないとジャッジされたコンビが脱落していくというルール。ステージによってはゲストも登場し、次々にあらゆる試練が襲いかかる過酷な状況となっている。 初代ゴールデンコンビに輝いたのは、令和ロマン・髙比良くるまとマヂカルラブリー・野田クリスタル。それぞれ『M-1グランプリ』(ABCテレビ・テレビ朝日系/以下、『M-1グランプリ』)優勝経験もあるふたりは、今回の挑戦と優勝をどのように振り返るのか。 ・『ゴールデンコンビ』は「体力-1グランプリ」? 優勝に必要な能力は「体力」 ――今回おふたりが初代ゴールデンコンビに輝きました。あらためて、優勝が決まったときの気持ちを教えてください。 髙比良くるま(以下、くるま):そもそも優勝できると思っていなかったですし、強烈な手応えとかないまま最後まで進んじゃったから、正直やってる最中のことを全然覚えてないんですよ。終わって初めて魂が肉体に戻った感覚があるくらい。とはいえ自分が一番やりたいお笑いをできた感覚があるので、優勝できて本当に嬉しかったです。 野田クリスタル(以下、野田):とにかく疲れました。参加した芸人全員の感想がそれに尽きると思います。あらゆる収録のなかで一番体力を持っていかれた。これをずっとやっていたら、ものすごく体力がつくと思います。優勝できたのは、僕らに体力が一番あったからだと思います。 くるま:『M-1グランプリ』決勝戦も実は、最終的に体力勝負じゃないですか? みんな朝からリハして、ずっと緊張して、疲れ切っちゃうんですよ。あとで映像とか観ても、そんななかで自分は元気だったなって思うんですよ。 野田:わかる。本当にそう。「体力-1グランプリ」ともいえる。 くるま:だから賞レースにおいて、元気ってやっぱり大事なんだなと今回あらためて思いました。『THE ゴールデンコンビ』は一日ぶっ続けで撮ったから優勝できたけど、もし数日に分けて一時間ずつの収録とかだったら、負けていたと思います。 ――優勝賞金1000万円の使い道は考えていますか? くるま:次回に全額キャリーオーバーしたら面白いかもしれない。もしくは、配信がコケたら賞金で補填します。優勝した身としては、自分たちの責任も感じるじゃないですか。自分たちが優勝した大会が観る人にはまらなかったってことだから。Amazonに詫びいれますか。 野田:そうだね。補填しよう。賞金は、配信がコケたときはAmazonの補填にします。 ――今回おふたりのキャッチフレーズとして「M-1王者同士の化学反応 天才×天才」と書かれていましたが、お互いに「天才」だと感じる部分はどんなところですか? くるま:野田さんは「理系のマッチョ」なのが最高ですね。野田さんって、とことん理系なんですよ。自分の世界を持ちつつ論理的に構築していくから、思考の過程がわかりやすくて、スムーズに合流できるんですよ。僕はド文系なので、理系の人間と組んだほうがいいんです。 野田:くるまのネタを書く力や分析する力がすごいことは多くの人が知っていると思うんですけど、今回一緒にコンビを組んでみてすごいと感じたのは、演者としての力量の高さ。ネタがほぼなにも決まってない状態で舞台に飛び出しても、ずっと言葉を発していられる。この凄さは、視聴者の方々はもちろん、芸人は特に驚くところだと思います。 ・脅威に感じたコンビは? ――特に印象に残っているステージはどれですか? くるま:第3ステージの「楽屋」です。ゲストと一緒に即興でクリアしなきゃいけないお題な上に、そのゲストは楽屋のドアを開けて初めてわかるから、裏で打ち合わせてどうにかなるようなもんじゃない。マジで究極の即興なんですよ。それにドアを開けたら片岡鶴太郎さんがいるなんて、あり得ないじゃないですか。景色としても忘れられなさすぎる。 野田:第6ステージ(準決勝)の「結婚式」です。準決勝って、それまでの疲れが溜まっているし、力を使い切ったら決勝で戦えなくなるから、一番キツいんですよ。でも吉岡里帆さんが競り上がりで出てきたときに、光が見えた。あまりにも可愛すぎて、それまでの疲れが全部吹っ飛びました。全てが一度リセットされた感覚になりました。 くるま:わかります。あのステージのゲストが吉岡里帆さんじゃなかったら、終わってました。芸能人ってやっぱり人に元気を与える職業なんだなと思いました。 野田:本当に、吉岡里帆さんが出てきたからかろうじて生き残れました。芸能人ってすごいんだなと思いました。 ――今回参加した8組のなかで、特に脅威だと感じたのはどのコンビですか? くるま:男性ブランコ・平井(まさあき)さんとロングコートダディ・堂前(透)さんのコンビです。 野田:僕も平井×堂前コンビです。堂前は本当に無冠の帝王すぎるよな。 くるま:今年、ロングコートダディは『M-1グランプリ』と『キングオブコント』(※TBSテレビ)で2冠獲ると思ってたんですよ。その可能性に一番近いところにいる。堂前さんって、完璧じゃないですか。ネタはもちろん、ロケとかやってもすごいし、ちょっと異常ですよ。今回僕らはたまたまお題の相性と体力で勝てただけです。 野田:平井もやっぱり面白いし、声もいいし。あのコンビはバケモノだった。 くるま:平井さんは平井さんで、何にでもなれるベースがあるから、何を着ても何をしても面白くできるんですよね。本当にとんでもないコンビでした。 ――今回の『THE ゴールデンコンビ』は第一回ということで、第二回が開催されるとしたら誰と出たいですか? くるま:たとえば、ランジャタイの国崎(和也)さんとか。あとは、もう中学生さん。僕、もう中さんとけっこう相性良いんですよ。あの人の考えてることがわかるんです。僕は整える力があるから、一緒に組む人はとにかくぶっ飛んでる人がいいですね。 野田:本当に裏で意見出し合いまくって考えたんで、それができる相手と組みたいです。今回はダイアン津田(篤宏)さんと永野さんのコンビが、永野さんに思いのほか何も意見がなかったっていう……(笑)。 くるま:『THE ゴールデンコンビ』は、ふたりでひとつになれないと勝てないですよね。これで永野さんへの過大評価が終わればいいと思っています(笑)。最近はクリエイター扱いされてますけど、永野さんの面白さは、そこではないので。虚無から作り出されている存在しない日本語が面白い人なんです。 野田:もし次また出る機会があって、永野さんみたいに何も考えず乗っかっていいのであれば、僕は堂前と組みたいです。 ・「本当に即興」だと一秒も忘れないでほしい ――豪華なセットや豊富な小道具も特徴的な番組だったと思いますが、そういった番組の裏側についてはどんな印象でしたか? 野田:収録当日にセットや小道具を見て驚いたというよりは、あとから聞いて「そんなに準備してたんだ」とびっくりしたことが多いです。どうやら収録の前日に、若手芸人だけでまったく同じことをやってたらしいんですよ。若手版『THE ゴールデンコンビ』を。 だからその時点で、芸人が何か欲しいって言ったらすぐ取りに行けるとか、何か作りたいってなったら材料や道具をすぐ集められるとか、そういう動線をかなり綿密に設計していたみたいです。 くるま:スタッフさんの対応力はマジですごかったですよね。僕がある人のコスプレをしたいとなったとき、すぐに10人くらいのスタッフさんが飛んできて、布を迷いなく破いたりガムテープとかめっちゃ使ったりして、ほんの数分で衣装をゼロから作ってくれたんですよ。迅速かつ的確に対応する医療現場みたいでした。 野田:もはやショックだったもん。「こんなめちゃくちゃなこと言っても、すぐ対応できるんかい!」って。スタッフさんのほうが一枚上手でしたね。 ――これから『THE ゴールデンコンビ』を観る方々に、特に注目してほしいのはどんなところですか? くるま:「本当に即興」だということを一秒も忘れずに観てほしいです。没入しないとダメです。冷めたら終わりです。自分も収録現場にいる感覚になって、スポーツを観戦するような気持ちで観てもらいたいです。 野田:そうだね。たしかにスポーツ観戦みたいな感覚で観てもらうのがいい。 くるま:しんどいと思うけど、欲を言えば一気に通して観てもらいたいです。観る人も体勢とか変えながら、ときには立ち上がって。 野田:観ると決めたら、飲み物とか多めに準備して、万全の体勢を整えて一気に観てほしいですね。
鈴木 梢