ホンダ、2025年3月期中間期決算は営業利益6.6%増の7426億円 為替や中国の販売減など中間利益は19.7%減の4947億円
本田技研工業は11月6日、2025年3月期 中間期(2024年4月1日~9月30日)の決算説明会をYouTubeでオンライン配信した。 【画像】ホンダの2025年3月期 中間期決算の財務実績 2025年3月期 中間期累計6か月の連結売上収益は前年同期(9兆6093億9200万円)から12.4%増となる10兆7976億1300万円、営業利益は前年同期(6965億7300万円)から6.6%増の7426億800万円、営業利益率は6.9%、税引前利益は前年同期(8792億8500万円)から15.6%減の7419億5300万円、親会社の所有者に帰属する中間利益は前年同期(6163億100万円)から19.7%減の4946億8300万円となった。 また、グループ販売台数は、4輪車が前年同期(193万4000台)から8.0%減の177万9000台、2輪車が前年同期(926万6000台)から12.0%増の1038万2000台、パワープロダクツ事業が前年同期(182万6000台)から9.5%減の165万3000台という結果になっている。 説明会では最初に、本田技研工業 取締役 代表執行役副社長 青山真二氏が決算内容について説明。 青山氏は営業利益7426億円、営業利益率6.9%となった2025年3月期 中間期決算のポイントとして、4輪事業として北米市場でICE(ガソリンエンジン車)、HEV(ハイブリッドカー)の販売が堅調に推移し、BEV(バッテリ電気自動車)の販売もスタートしたことから販売台数が前年同期比で6万4000台増加した一方、中国市場での販売が減少したことで、グローバル販売台数が前年同期比で15万5000台減少していることを紹介。 2輪事業ではグローバルで販売台数が好調に伸び、第2四半期累計で1000万台の販売を達成していると述べ、将来成長に向けた原資となるR&D調整後営業キャッシュフローは前年同期と同水準の1兆2851億円になっていると説明。 主要市場での販売状況については、4輪事業では日本、米国で販売が伸びた一方、中国市場で新エネルギー車市場が拡大していること、価格競争が激化していることなどの影響で販売が減少。2輪事業ではタイ国内の景気減速の影響を受けつつ、インドでの堅調な需要、ベトナム経済の回復を受けた販売増で全体として販売増となっている。 ■ 営業利益は対前年増だが、中国での販売減などの影響で税引前利益は減益 決算内容の詳細は本田技研工業 執行役 最高財務責任者 藤村英司氏が紹介。藤村氏は前年同期と比較した税引前利益の増減要因について説明し、営業利益の部分で販売台数の増加をインセンティブの増加が上まわった「販売影響」が280億円、人件費や外部委託費の増加で「諸経費」が1055億円、「研究開発費」が800億円、「為替影響」が90億円の減益要因となったが、商品価値の向上に見合う値付け効果で2686億円の増益となった「売価/コスト影響」が上まわり、前年同期比で460億円増となっていると解説。 しかし、中国における販売台数の減少や国内関連会社の利益減少に伴う「持分法利益」が874億円、為替レートが前期末に対して円高になったことによる外貨建て資産の評価差損などによる「その他」が958億円の減益要因となったことから、税引前利益としては前年同期比で1373億円の減益になったと述べた。 ■ 通期見通しは売上収益を7000億円上方修正、当期利益を500億円下方修正 2025年3月期 通期業績見通しでは、4輪事業でアジアにおける販売が10万台減、2輪事業で主にアジアでの販売増を反映して40万台の販売増、パワープロダクツ事業では地域別の見直しだけで全体の販売台数は増減なしと見込み、売上収益を前回見通しから7000億円上方修正する一方、親会社の所有者に帰属する当期利益を前回見通しから500億円減に下方修正している。 ■ 合弁先との話し合いで中国における生産能力を削減 質疑応答では、今年度から本格スタートした北米でのBEV販売に関連してインセンティブ増加が業績に対して影響を与えているか問われ、青山氏は「北米でのBEV販売台数は、上期実績でおよそ2万台弱を小売りしており、下期に向けては6万台強の販売を計画しており、通期では8万台程度の販売を織り込んでいます。インセンティブについては、詳細な金額は明かせませんが、当初に想定していた数値から7000ドル/台ほど予定よりも使っているところが実態です。これは下期についても基本的に同様のレベルで予算上は織り込んでいます」。 「この状況でも販売を強化していくのかと問われれば、われわれは2026年モデルからいよいよ自社開発、自社生産のBEVを北米で展開していく予定です。この2026年モデルの展開に上手くつなげていくべく、BEV販売のモメンタムを高めていきたいというのが基本的な考え方ですが、一方でマーケット全体の動向、インセンティブの状況、規制への対応といったさまざまな観点を鑑みながら臨機応変に対応していくことになると考えています」と回答した。 また、現地メーカーが市場シェアを大きく高めている中国市場の動向については「中国を中心とした販売減については想定していたよりも減少のスピードが速いと認めざるを得ませんが、事業構造として主に固定費まわりを中心として削減を進めております。これによってマイナス方向の加速度は遅くなっていると捉えています」。 「ポジティブな部分では、ICEやHEVの北米販売でインセンティブを想定していたよりも使っていない面もあり、そこに2輪販売の好調も加わってプラス要素になっています。中国市場についてはBEVとPHEVといった新エネルギー車の販売が加速度的に増えている要素があるなかで、われわれは今現在で強い商品を持っていないことも含め、ある一定は固定費を削減すべきところに対策していく部分で展開を進めている状況です」。 「現状では中国で2つの合弁会社を持っており、それぞれ年間12万台相当の生産能力を持つBEV専用工場を立ち上げる、立ち上がったという状況です。これによって従来よりも生産能力を24万台上乗せする形になりますが、一方ですでに149万台という公称生産能力を持つ各合弁会社について、この1年弱のスパンで96万台まで生産能力を落とす話し合いをそれぞれの合弁会社と進めているところで、今年度中に96万台の生産まで落としていくことになっております」。 「ここにBEV専用の工場を含めて120万台という生産能力の設定になるわけですが、足もとの販売ペースと比較して余剰になる生産能力ですので、さらなる削減を進めていく前提でホンダの社内、パートナーの合弁先企業とも話し合いを進めているところです。人員削減も一定進んでおり、広汽ホンダ、東風ホンダでそれぞれ数千人規模の希望退職を募って人員の適正化を進めているのが実態です」と解説した。
Car Watch,佐久間 秀