ECB、金融緩和を米英に先駆け開始-追加利下げ見通しは示さず
(ブルームバーグ): 欧州中央銀行(ECB)は6日、中銀預金金利を3.75%に引き下げると発表した。数カ月前から予告していた通り金融緩和を開始したが、その後の追加利下げについて示唆することはなかった。
ECBは政策金利を9カ月にわたり過去最高の4%で維持していた。今回の利下げは市場の予想通り。
インフレ見通しが「著しく」改善したとの認識を示す一方、物価見通しも引き上げ、「政策金利を必要な限り十分に景気抑制的な水準に保つ」と表明した。
ラガルド総裁はフランクフルトでの記者会見で、「今日から利上げを巻き戻す段階に移行するのかと聞かれれば、そうだとは言わない。その可能性は極めて高いが、データ次第だろう。非常に不確実なのは、われわれが進むスピードとそれに要する時間だ」と語った。
政策委員会は引き続き、会合ごとのアプローチを取るとした上で「特定の金利の道筋をあらかじめ約束はしない」と強調した。ラガルド総裁によると、利下げ決定は1人を除く全員が同意した。
ECBは米連邦準備制度理事会(FRB)やイングランド銀行(英中銀)に先駆けて金融緩和に踏み切った。ゼロ成長や小幅なリセッション(景気後退)が2年にわたり続くユーロ圏経済にとっては、追い風になる可能性がある。
短期金融市場では次回利下げは恐らく9月になるとの見方が維持された。ECBの政策発表後、ユーロは0.1%高の1.0880ドル前後、10年物ドイツ債利回りは4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の2.55%でそれぞれ取引されている。
ECBは今年と来年のインフレ見通しを引き上げた。政策と同時に発表された四半期ごとの経済予測によると、2025年のインフレ率は平均2.2%と見込む。従来は2%としていた。今年の成長率見通しは従来の0.6%から0.9%に上方修正した。
ラガルド総裁は、インフレ率が目標の2%に戻るのは従来の想定よりも遅くなると説明、「インフレ率は今年いっぱいは現在の水準付近で上下すると予想される。その後、来年後半に目標に向かって低下していくだろう」と語った。