レッドブル、F1オランダGPで完敗認めるも今後に向け”比較テスト”実施「勝てない時には、2位をしっかり確保するのが大切」
レッドブルはF1オランダGPでマクラーレンの前に完敗。タイトル争いにおけるリードを一気に縮められ、窮地に陥っているように見える。同チームの代表を務めるクリスチャン・ホーナーは、この現状に対処するため、マックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレスのマシンを異なるセッティングにして、オランダGPを戦ったと明かした。 【ランキング】ついにレッドブルのリードは30ポイントに……逃げ切れるのか?:F1コンストラクターズランキング レッドブルは2024年シーズンを、圧倒的な強さを持って開幕させた。ドライバーズタイトル4連覇、コンストラクターズタイトル3連覇は確実と、開幕戦バーレーンGPが終わった段階では多くの人が考えた。 しかしフェラーリやマクラーレン、そしてメルセデスといったチームが力をつけ、サマーブレイクに入る前の時点でレッドブルは、勝利を手にできないレースが続いた。中でもマクラーレンは、勝利こそ重ねられなかったものの、最も速いマシンになったのではないかとも言われた。 サマーブレイクが明けてもその状況は変わらず、特にマクラーレンの速さには磨きがかかったように見えた。ランド・ノリスはフェルスタッペンに約23秒もの差をつけてトップチェッカー……まるでレッドブルとマクラーレンの立場が逆転したような、そんな強さだった。 「おそらくいくつか理由があると思う。今日、彼ら(マクラーレン)はとても速かった。その点では彼らに拍手を送るよ」 レース後、レッドブルのホーナー代表はそう語った。 「デグラデーション(タイヤの性能劣化)がかなり大きくなると予想していたので、我々は少しギャンブルをしたんだ。ダウンフォースのレベルを、最大限にした。これは少し賭けだったんだ。そして予想通りデグラデーションが大きいのなら、その選択が役に立つだろうと考えていたんだ」 「でも結局はデグラデーションは非常に小さかった。一方でマックスの直線スピードを奪うだけになってしまった」 「彼は素晴らしいスタートを決めてリードしたが、かなり早い段階でランドが後ろで快適に走っていることが分かった。そして我々の直線スピードは遅かったから、彼は簡単にパスしていったんだ」 「マックスは、今日ランドに勝つことができないことを知っていたと思う。レース前に話し合った最も重要なことは、ランドに勝てないならば他のドライバーには勝つということだった。我々はそれを十分にカバーできた」 なおホーナー代表曰く、今回のオランダGPでは、フェルスタッペンとペレスのマシンのセッティングを異なるモノにしていたという。そこで得られたデータを、今後の戦いに活かそうとしていると明かした。 「今日のメリットは、2台のマシンを異なるスペックで走らせたことだったと思う。今日はたくさんのデータを得ることができた」 そうホーナー代表は言う。 「今はそのデータとドライバーからのフィードバックを理解して、活用するのが大切だ。マックスは、どこに問題があると感じているか、それを明確に語ってくれている」 「エンジニアたちにとって、本当の意味での方向性が示されたと思う」 ホーナー代表は、今回は完敗だったと認めつつも、そんな時にダメージを最小限にする必要があると語ると共に、パフォーマンスを回復できることに期待も見せた。 「今季序盤、我々は20秒とか25秒の差をつけてレースに勝っていた。ステファノ(ドメニカリ/F1のCEO)は最初の5レースを終えたところで、我々にスピードを落とすよう求めていたものだ」 「でもそれは急激に変化した。だから逆の方向に変化する可能性もあることを意味している。今、問題があることは分かっている。今日のマシンは、マックスが望むように反応してくれなかったようだ」 「我々はどんな状況でも、タイヤが機能するセットアップにする必要がある。マクラーレンは今日、ランドのマシンでそれを実現させた。我々にはそれができなかったんだ。でも勝てないなら2位フィニッシュすることで、ダメージを最小限に抑えることができた」 なおホーナー代表は、最近好調な走りを見せるマクラーレンやメルセデスは、フロントウイングをうまく活かせていると考えている。 「ライバルがパフォーマンスを見つけた部分の方が問題だと思う。フロントウイングが、その重要な部分だと思っている」 そうホーナー代表は明かす。 「フロントウイングの使い方はかなり違うと思う。マクラーレンとメルセデスのフロントウイングの角度を見ると、大きく異なっている。他のチームとはとても異なるんだ」
田中健一, Erwin Jaeggi