【飯塚オート(ナイター)GⅠ開設記念レース】鈴木宏和 悲願のグレードレース初制覇に「やっと取れた。長かった。もう取れないんじゃないかと…」
ナイターで争った飯塚オートのチャリロトpresents GⅠ「開設68周年記念レース」(優勝賞金350万円)は最終日の17日、最終12Rで優勝戦を行い、6号車の鈴木宏和(37)=浜松・32期=がトップSから逃げ切り勝ち。デビュー12年目で悲願のグレードレース初制覇を果たした。2着は最後尾から追い上げた7号車の佐藤励。3着には人気を集めた5号車の地元・荒尾聡が入り、3連単は1万860円(37番人気)の好配決着となった。5日間の総売上額は12億5446万2500円(目標額13億円)だった。
■ヒーロー
ここ一番で伝家の宝刀を抜いてみせた。鈴木宏和が10Mオープンの6枠から猛烈なS攻勢。1角を先取りすると、そのまま8周回を逃げ切った。ようやく手にしたグレードレース初制覇に、「やっと取れた。長かった。もう取れないんじゃないかとも思っていたし、うれしい。それ以外は(言葉が)出てきません」と喜びをかみしめた。 試走は3.30。外枠勢が軒並み3.20台のタイムを計時した中で平凡過ぎる時計。「試走が良くなかったから、Sに集中するしかなかった」。その思惑通りにいきなりトップに立つと、あとは「ペースを落とさないように」と心がけて走ったが、「最後は滑りが出てきつかった。必死でした」。初タイトルへの執念で何とか先頭を守り切った。
レース後は仲間に胴上げされて満面の笑み。ただゴール直後は、これまでの悔しい戦いの数々が脳裏に浮かび、思わずヘルメットの中で涙した。それでも「みんなの前では恥ずかしいから」と、ヘルメットは脱いだ後は涙腺を抑え、いつもの宏和スマイルで周囲の祝福に応対した。 年末には今年のオートの総決算、スーパースター(川口・27~31日)に出場する。「最高の弾みがついた。毎戦、トップSが切れるように頑張りたい。これからも日本一のSに磨きを掛けて頑張ります」。S力が生かせる0Mオープンで持ち味発揮なら、GⅠ初制覇に続き、SG初制覇も夢ではない。(三島隆助)