DJ社長に振り回される「不憫ボーイズ」に期待の声 / 活休前の嵐の心情を描いた「5×20」に今改めて感動
YouTubeでの視聴回数チャートや、ストリーミングサービスでの再生数が伸びている楽曲を観測し、今何が注目されているのかを解説する週刊連載「再生数急上昇ソング定点観測」。今週はYouTubeで11月1日から11月7日にかけて集計されたミュージックビデオランキングの中から要注目トピックをピックアップします。 【動画はこちら】DJふぉいとDJ脇の「不憫ボーイズ」が不憫カッコいい(そのほかの記事中で言及しているMVも) 文 / 真貝聡 ■ まずはこの週の初登場曲の振り返りから 今週のYouTubeのミュージックビデオランキングでは、当連載の10月3週目の記事で紹介したのち徐々にランクアップしていたAKASAKIの「Bunny Girl」がついにウィークリー1位に輝いた。11月13日にはアコースティックなバンドサウンドにアレンジされた「Bunny Girl(Natural)」の、本人出演の実写MVも公開されている。 11位にはBABYMONSTERの「DRIP」が登場。11月1日のMV公開から、10日間で6700万回再生を突破した。11月5日にはパフォーマンスビデオ、11月8日にはスペシャルパフォーマンスビデオも公開されている。 28位にはTOMORROW X TOGETHERの「Over The Moon」がランクインした。YouTubeのコメント欄には6万3000件以上のコメントが寄せられており、「ずっとMOA(※TOMORROW X TOGETHERファンの呼称)で居て良かった。なんて素敵なラブソングなんだろう…」「アイドルとファンがこんなに相思相愛なグループってなかなか無いよね 本当に幸せ」など、彼らのラブソングを聴いて胸を打たれた人の声が多かった。 40位にはBE:FIRSTの「Sailing」オフィシャルオーディオが登場した。同曲はテレビアニメ「SPECIAL EDITED VERSION 『ONE PIECE』 魚人島編」のエンディング主題歌になっており、歌詞とサウンドの壮大なスケール感が「ONE PIECE」の世界観と見事にマッチしている。 日韓を代表するダンスグループの新曲が目立った今週は、下記の3曲をピックアップした。 ■ DJ SHACHO「Nobody's waiting for us」 ※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場10位 今年3月にDJ銀太(現:GINTA)、5月にDJまる、8月にDJ社長が脱退し、その後はDJふぉいとDJ脇の2人体制で活動していたRepezen Foxxだったが、11月1日にグループのX(Twitter)公式アカウントにてDJふぉいの脱退が発表された。この件についてDJふぉいは事前に何も知らされていなかったようで、彼は自身のYouTubeライブ配信内で「強制的に巣立たされた」と笑いながら心境を話している。 さらに脱退の報告があったその日、DJ社長が「DJふぉい解任のお知らせ」というタイトルでYouTubeに新曲「Nobody's waiting for us」を公開。この曲は、先日DJまるが暴行の疑いで逮捕されたことを知ったDJ社長が「叩けばホコリはまだ出るよ / バレてないだけでまだあるよ / 週刊文春かけてくるよ / 心当たりなら百あるよ」と表面化していないグループの問題を示唆するという内容で、ラウドロック調のバンドサウンドに乗せて叫ぶ「解雇解雇解雇解雇解雇 解任!」というストレートな歌詞と、生成AIで制作されたインパクトの強いMVが話題を呼び、今週10位にランクインした。 その一方で、解任されたDJふぉいと、唯一メンバーに残されている状況のDJ脇は、今回の件を受けてRepezen Foxx feat. DJ? Foy名義で新曲「不憫ボーイズ」を11月8日に発表。まだ今回のウィークリーMVランキングの集計対象にはなっていないが、MV公開から1週間で90万再生を突破し、こちらも大きな注目を浴びている。 これまでグループを存続させるために尽力していたにもかかわらず、突如脱退を告げられたDJふぉいの心境を吐露しているような「流石にマジ不憫最近不眠ストレス値振り切るメーター」という歌から始まるこの曲。2番では「Goodもbadも抱えてこのままgoway」と、今後は2人で歩んでいく宣誓にも受け取れる歌詞へとつながる。 YouTubeのコメント欄では「応援してるよ不憫ボーイズ」「マジでふぉいとわきの二人相性良すぎんか ビジュアルもいいし声も綺麗でガンガン曲出して欲しい 今までのレぺゼンで一番デカくなる可能性あるユニット」など新ユニットへの期待と称賛の声が多く上がっている。 ■ Vaundy「風神」 ※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場24位 全国10都市20公演を回る自身最大規模のアリーナツアー「Vaundy one man live ARENA tour 2024-2025」を開催中のVaundy。ツアー初日の11月9日、神奈川・横浜アリーナで初披露されたのが新曲「風神」だ。同曲は柳楽優弥主演の金曜ドラマ「ライオンの隠れ家」の主題歌。Vaundyは同曲に込めた思いを次のようにコメントしている。 「『風神』は、誰しもがもしかしたら風をまとっていて 人と人とが向き合ったときにその風でできていく擦り傷が、ただ痛いだけのものではなく ぬくもりを持った温かな痛みでもあるよね、ということを歌った曲です。楽曲と合わせて、登場人物たちの心や関係の変化を感じとって楽しんでもらえたらなによりです」 その言葉の通りVaundyは、ドラマの登場人物たちの人間関係や葛藤を、サビで歌われる印象的なフレーズ「この先も誰かを想うたび / 風纏い擦り傷が絶えないだろう / だがやがてこの風、受けるたびに / その、変え難いぬくい痛みに / 報われていたいはず」で見事に表現している。 11月2日にはVaundyが監督を務めたMVが公開された。今作のMVは「ライオンの隠れ家」にも出演している、乃木坂46の元メンバー・齋藤飛鳥が参加していることも大きな話題に。YouTubeのコメント欄には楽曲のクオリティの高さを褒める声だけでなく、「Vaundy、監督レベル上がりすぎやろ 齋藤飛鳥のダンスキレッキレすぎて好きすぎる」という監督としてのVaundyの手腕や齋藤の表現力を賞賛する声も散見される。 ■ 嵐「5×20」 ※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場30位 嵐が11月3日のCDデビュー25周年という節目に、これまで制作してきた71曲のMVを公開した。今週はそのうち9曲がトップ100にランクインしており、その中で最も再生されたのが「5×20」だ。 同曲は2019年にリリースされたデビュー20周年を記念したベストアルバム「5×20 All the BEST!! 1999-2019」に収録されているアニバーサリーソング。Netflixのオリジナルドキュメンタリーシリーズ「ARASHI's Diary -Voyage-」第6話の中で、メンバーの櫻井翔は同曲の作詞について振り返る場面がある。 「『5×20』はね、3回ぐらい書き直したのかな。うん……泣きながら書いてた。何かを生み出すときって、ときに向き合わなきゃならないじゃない? 特に『5×20』なんか、まさにメンバーを思って書くから。なんか、そこに……あの当時で言うと、向き合わなきゃなんないから、しんどかったな」「いい歌詞ができればできるほど、いい思いを言葉に表現できればできるほど、しんどいっていうか」 グループの活動休止が決まっている中で、櫻井は葛藤しながらも「5×20」のラップパートを書き上げた。それをメンバーに送ると、松本潤からひと言「泣けちゃうね」と連絡が来たそうだ。「出会って数年 あれは急で 共に過ごし生きてきたね good days」という言葉でグループ結成の心境や5人の道程を表現しつつ、「僕らの想いが ちゃんと伝わるように / 大丈夫ここにいる」とファンへの感謝の気持ちをつづった櫻井によるリリック。当時の彼らの思いがこの1曲に集約されているようで思わず感動する。 ■ 真貝聡 ライター / インタビュアー。雑誌やWebで執筆するほか、MOROHA「其ノ灯、暮ラシ」、BiSH「SHAPE OF LOVE」、PEDRO「SKYFISH GIRL-THE MOVIE-」といったドキュメンタリー映像作品や、テレビ特番「Mrs. GREEN APPLE ~Review of エデンの園~」にインタビュアーとして参加している。