女性検事は容疑者に「社長、いらっしゃーい」、男性検事は「検察、なめんなよ!」…冤罪事件「国賠訴訟」で判明した大阪地検特捜部検事たちの呆れた所業の数々
記憶力抜群のはずが…
原告側代理人の中村和洋弁護士に問われた山口検事は「山岸社長とは真摯に向き合っていた」「誠実に話した」などとし、「このような所に呼ばれるのは心外」と反省の言葉のかけらもなかった。 記者会見で筆者が山岸氏に「裏切られた思いの相手である山口検事にどう訊いたのですか?」と訊くと、「本当は私が訊きたかった。本にも書いたように『逮捕状が出てしもた。私、悔しい』と言っていたことを中村弁護士が訊くと、間髪入れずに彼女は『記憶にありません』と言った。『記憶にある』と言ったら次(の質問)を訊かれて困るからでしょう。記憶力抜群の彼女が記憶にないということなので、敢えて訊きませんでした」と話してくれた。 弁護士から黙秘するよう言われたAさんに、取り調べで山口検事は「私が弁護士だったら、絶対黙秘(しろ)なんて言わない」と言った。黙秘権侵害に当たる可能性があるが、この日の尋問で中村弁護士から理由を問われると「言い分をちゃんと言ってもらいたかった」などと答えた。 今回、「机を叩いた」「怒鳴った」「大罪人ですよ」などという田渕検事の発言が注目されたが、反省の色を全く見せなかったのは山口検事である。 6月18日、証人尋問の最終日には、小田真治裁判長 が蜂須賀検事にM&A(企業の合併・買収)のことを盛んに尋ねた。裁判長はプレサンスの事件構造が経済世界での常識とかけ離れていることに違和感を覚えていたのだろう。 中村弁護士は「裁判長は民事担当なので経済に明るい。検事らは全くそういう知識がないのに刑事事件にしようとしていただけ」と指摘した。中村弁護士は元検察官なので相手の手の内を知り尽くしている。山岸氏が無罪を勝ち取れたのは、大阪で冤罪に強いと定評のある秋田弁護士と、この中村弁護士のコンビだったことが大きい。 この日の記者会見で筆者は山岸氏に「新聞などで検事らの名が伏せられることをどう思いますか?」と質問した。読売新聞や関西の民放テレビの一部は名前を公表しているが、毎日新聞や朝日新聞、NHKは完全に伏せている。山岸氏は「当然、名前を出すべきですよ。出さないのがおかしい」と即座に答えた。