センバツ2023 戦力分析/下 氷見 考える野球で挑戦 主体的な課題解決で成長 /富山
30年ぶりに甲子園の土を踏む氷見ナイン。しかし、昨年12月から降雪、積雪が続き、グラウンドでの練習を再開できたのは、2月上旬の岐阜遠征から。冬の間は室内練習場とトレーニングルームでの筋トレが中心だった。 それでも投打の柱、青野拓海投手(3年)は秋以降、見違えるような成長を遂げた。「(昨年秋の)北信越地区大会での敗戦が本当に悔しかった。それまでの自分の努力が足りなかった」と猛省。食事やトレーニングの量を増やし、秋から体重が5キロ増え、下半身の筋肉も増強させた。部の練習後も筋トレマシンを持つ親戚の家で2時間ほど鍛えたり、晴れた日には近くの島尾海岸の砂浜で走り込みをしたり。悪天候の時は自宅でユーチューブで体の使い方などを研究した。 その成果は、岐阜遠征の場で発揮された。昨秋は最速143キロだった球速は非公式ながら2~3キロスピードを増し、精度も増した。また、練習試合で特大本塁打を2本放つなど打力もアップ。「投手ではピンチの場面で抑えて、打席では長打を狙いたい」と虎視眈々(たんたん)と甲子園本番に備える。 ほかにも、捕手の大沢祥吾主将、伊尾海(かい)遼(り)、西川晃成の内野手(いずれも3年)の打撃面での成長が著しい。冬場、室内での基礎練習に力を入れたことと、甲子園を意識して全員で集中して質の高い練習ができたのが要因といい、ミート力、長打力など各自の課題も克服しつつある。大沢主将は「雪はハンディではない。焦りも不安もない。今は本番でいかに少ない失点で抑え、僅差の試合ができるよう頑張ることしか頭にない」と頼もしい。 前任の砺波工高で甲子園に出場経験があり、2019に氷見に赴任した村井実監督(59)は、練習量が前任校に比較して大きく減ったことから「考える野球」に路線変更した。7限授業の日だと練習は約2時半。短い練習で効率よく実績を上げるため、選手が主体的に課題解決について考えるよう求めた。20年からは選手の希望を尊重して丸刈りもやめた。村井監督は「とにかく何事も自分自身で考えるという自覚を持って練習し、行動することが大切だと気付いた。その成果はここ1年の成績に表れている。甲子園では出るだけなく、全員で勝ちに行く」と力強く宣言した。【青山郁子】