歴史的快挙の尊富士が「食べられない」意外な物 「横綱にならないと認めてくれない」相撲どころが生んだ新スター【記者コラム】
■記者コラム
「そういえば尊富士の会見を取材したことがあったな…」。大相撲春場所。快進撃を続ける新入幕力士を見ていてふと思い出し、ノートを見返し、ボイスメモを聞き直した。 ■「伝説の張り差し」歴史動いた千秋楽の一番【動画】 昨年の九州場所千秋楽から3日後。今年の初場所番付編成会議の日、新十両昇進が決まった尊富士は記者会見に臨んだ。場所は福岡県太宰府市の太宰府天満宮にある伊勢ケ浜部屋宿舎。私は九州の新聞記者なので、普段は青森県出身の力士を取材することはないのだが、会見を仕切る立場でもあったので足を運んでいた。 「(昇進は)うれしいのと『あと1場所早ければ』というのと…」。尊富士は笑った。初土俵から所要8場所での十両昇進。これは同部屋の熱海富士と同じで「一緒だね」と話し合ったそうだが「師匠(元横綱旭富士)は1場所早いですから」。対抗心も見せていた。それでも、その九州場所前の稽古を取材した(同部屋の横綱照ノ富士が休場する可能性があったので行っていた)際には、ある関取から「あいつとは実質関取相手だと思って(稽古を)やっている」という言葉を聞いた。周囲も大器ぶりを認めていた。照ノ富士からは、巡業の際に朝の稽古に加えて移動先に着いた後でジムでトレーニングするように勧められたという。「きつかったです。でもそれが場所につながったと思うと、やって良かったです」と頭を下げた。
師匠「小さい時から知っているので…」
大器ぶりを認めていたのは師匠も同じだ。「地元(同じ青森県出身)だし、小さい時から知っているので、上がれてよかった」と目を細め「うちの関取衆や幕下と稽古をしても上がれる感じはした、黙って見ていても十両に上がるんじゃないかなともね」と喜びを口にした。 青森県は過去に鏡里、初代若乃花、栃ノ海、2代目若乃花、隆の里、旭富士と6人の横綱を生んだ。これは北海道の8人に次いで多い。まさに相撲どころだ。「青森の人は大関にならないと認めてくれないともいうが?」と質問が飛んだ。伊勢ケ浜親方が「横綱でしょ? 横綱にならないと認めてくれない」と答えると、尊富士は「やるしかないですね…」と意気込んだ。会見当時は大きな夢を語っているなと思ったが、今思うと…早い段階で現実にしてしまうような感じすらする。