トヨタ自動車の2連覇なるか?優勝経験持つHonda、旭化成、富士通、勢い乗るGMOが追う/ニューイヤー駅伝
◇第69回全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝/1月1日、群馬県庁発着・7区間100km) エントリー選手 10000mの今季ランキングをチェック! 第69回全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)は2025年1月1日、群馬県前橋市の群馬県庁前をスタート、県内を反時計回りに1周して再び県庁前にフィニッシュする7区間100.0kmのコースで行われる。 前回から最長区間が4区から2区へと変わり21.9kmの「エース区間」に。3区が15.4km、4区がインターナショナル区間となり、前半がより重視される設定に変更された。 前回優勝したトヨタ自動車は、2区・太田智樹がトップに躍り出て、以降は一度も首位を譲らない、まさにお手本通りの展開で8年ぶり優勝を飾っている。2025年最初の「日本一」が決まるレースは、果たしてどんな展開となるか。見どころや注目選手を見ていこう。 優勝候補の筆頭は、そのトヨタ自動車だろう。パリ五輪10000mに出場した太田、駒大卒のルーキー・鈴木芽吹、前回Vメンバーの田中秀幸、西山雄介、新人ではともに中大出身の吉居大和と湯浅仁ら分厚い選手層を誇る。 なかでも鈴木は、秋に5000m(13分13秒80/日本歴代9位)、10000m(27分20秒33/日本歴代5位)と絶好調。太田がアキレス腱痛からの復帰過程にあり、その回復次第では2区の大役を務める可能性も十分ある。 不安要素は前回3区の田澤廉、2年連続アンカーの主将・服部勇馬が外れたこと。前回のように一気に主導権を握れない可能性はあるが、後半勝負でも優位に立てるだけの戦力を持つのは大きな強みだ。 追うのは優勝経験チームと新鋭の構図となりそう。 前回、史上4チーム目の3連覇を逃したHondaは、ニューイヤーに向けて鹿児島・奄美大島でじっくりと準備を重ねてきた。 中軸はエース・伊藤達彦、パリ五輪代表の青木涼真と小山直城、前回2区の中山顕ら。東日本実業団駅伝では7位にとどまったが、伊藤、青木、中山が外れての結果。その後の青木は甲佐10マイル、伊藤はNITTAIDAI Challenge Games(NCG)で元気な姿を見せている。 連覇の時は入社時から常に5区を任されてきた青木がカギになっており、前半で好位置につければ後半で一気に抜け出す展開に持ち込むかもしれない。 最多25回の優勝を誇る旭化成も、豊富な戦力を誇る名門。17~20年の4連覇から2年連続3位を経て、前々回は16位にとどまったが、前回は再び3位とトップ3に復帰した。 5年ぶり王座奪還は、パリ五輪10000m代表・葛西潤と、東京五輪10000m代表の相澤晃の復調次第か。ベテランの大六野秀畝、2年目の井川龍人と齋藤椋が好調で、前回1区の長嶋幸宝も転倒のアクシデントの雪辱を期している。選手層の厚さは屈指。そこに2枚看板が並び立てば、常に主導権を握り続けることも十分可能だ。 Hondaと同じく東日本で5連覇を逃す4位と苦戦した富士通も、ニューイヤーに向けて着実に調子を上げてきた。 なんといっても、今季はケガに苦しみ、パリ五輪代表入りを逃した10000m日本記録保持者・塩尻和也の復活が大きい。12月1日のNCGで27分36秒37。塩尻に引っ張られるように、同レースでは6人が27分台をマークしている。 マラソン日本記録保持者の鈴木健吾、東京五輪代表の松枝博輝と坂東悠汰のほか、横手健ら駅伝巧者もずらり。前回は9位と入賞を逃しており、東日本後に千葉県内で合宿を組むなど、新たな流れで上州路に挑む。 そして、最も勢いがあるのが、東日本王者として臨むGMOインターネットグループだろう。2016年創部、ニューイヤーは駅伝参戦初年度の20年から5年連続の出場で、一気に初優勝をつかむか。 東日本では1区・吉田祐也が2位に40秒差をつける区間新で先手を打ち、そのまま他の追随を許さなかった。その吉田は、12月1日の福岡国際マラソンで日本歴代3位の2時間5分16秒をマークして優勝。エースとして、チームを牽引する。 11月23日の八王子ロングディスタンス10000mで27分42秒65の自己新を出した今江勇人、世界選手権5000mで2大会連続メダル獲得中のジャコブ・クロップら、脇を固めるメンバーも年々充実。1区の出来次第で、東日本のように独走に持ち込む可能性はある。 このほか、細谷恭平、田村友佑らを軸に近年上位候補に挙がる黒崎播磨、ブダペスト世界選手権マラソン代表・山下一貴や井上大仁らを擁する前回5位の三菱重工、9月末のベルリン・マラソンで日本歴代2位の2時間5分12秒を出した池田耀平がいるKao、中部実業団駅伝でトヨタ自動車を抑えて優勝したトヨタ紡織、関西王者のSGホールディングス、中国覇者の中電工らが、激しい上位争いを繰り広げることになるだろう。 また、2025年は東京世界選手権イヤー。ここまでに上げた選手たち以外にも、パリ五輪マラソン6位入賞の九電工・赤﨑暁、そして3000m障害8位のSUBARU・三浦龍司ら国内トップランナーたちが鎬を削る。三浦は唯一の地元チームとして、実業団駅伝デビュー戦でどんな走りを見せるか。 レースは2025年1月1日、午前9時15分スタート。TBS系列で午前8時30分から生中継される。
月陸編集部