『キングダム』山崎賢人が「頑張ろう」と言わない理由 信とシンクロする座長のスタンス語る
本作でニューヨーク・アジアン映画祭の「Best from the East Award」(素晴らしい演技を披露した俳優に与えられる賞)を日本人として初受賞した山崎は、「20代は『キングダム』シリーズとずっと一緒に生きてきた。ひねくれず真っ直ぐな信は、その立場やいろんなものが自分とリンクしているし、この作品にはずっと“成功するのか?”と疑われていた未知の領域を、みんなでぶち壊して作ってきた自信と喜びがある」とも述べ、約7年にわたって関わってきた長さも含めて特別な作品になったようだ。「最初は、信が“天下の大将軍になる”と言うのと同じように、自分も“すごい日本映画を作って、すげえ奴になりてぇ!”ぐらいの感じだったのが、次第にみんなで作ってきたことへの思いや、観てくださった人に感動を与えたいなど、いろんなことを思うようになってきました」と、観客の反響を実感した山崎自身が、多くの人の思いを背負って成長する信とシンクロするように取り組んできたのもわかる。
「原作漫画にもある場面を演じる時には原作に答えがあると思っているので、自分の中でもその答えに自信を持った状態で演じることができたけど、2作目『キングダム2 遥かなる大地へ』(2022)の羌カイ(清野菜名※羌カイのカイはやまいだれに鬼)との洞窟での場面など、映画オリジナルのシーンやセリフでは難しく感じたこともありました。二人の距離の縮まるスピードが原作より速く、会って間もない人に“(死ぬなんて)ふざけんじゃねぇ! んなこと俺が許さねえぞ。おまえは間違ってる”なんて急に言えるのかなと。“このセリフ言いづらいな”とも一瞬思ったけど、“信だったら言えるな”とも思えたし、自分自身もファンの方々も信に言ってほしい言葉だろうなとも思えた。観ていただく方へのメッセージだとも思ったので、そういうこともすごく大事だなと思って演じるようになりました」
「作品に込めた思いがこれだけストレートに観客の方に伝わる作品は少ない」「シリーズを重ねれば重ねるほど、スタッフやキャストみんなの気持ちが乗るし、観客の皆さんも一緒になって思いを重ねられる作品だから、どんどん面白くなるし感動する」とも語る山崎の熱い言葉の数々には、最終章を迎えたとはいえまだまだ尽きないシリーズへの溢れる意欲が感じられ、新章のスタートも期待せずにはいられない。(取材・文:天本伸一郎)