東京都20年度予算案、3年連続7兆円超 小池知事、「新規事業最多」アピール
東京都の小池百合子知事は24日、定例会見で2020年度の当初予算案を発表した。一般会計は7兆3540億円と3年連続で7兆円以上だが、過去最高だった前年度と比べると1.4%減だった。「新規事業」が420件に上り、都の当初予算案としては過去最多。今年の夏には五輪・パラリンピックが開催されるが、小池知事は「大会を確実に成功させるとともに、成長と成熟が両立した輝ける未来の東京をつくるための予算、という位置づけ」と述べた。
「子育て支援」「豪雨対策」などに重点配分
歳出のうち、税の一定割合を区市町村に交付する経費を除いた一般歳出は、前年度比1.2%減の5兆5332億円。小池知事によると、「子育て支援」、「豪雨災害対策」、通信環境の拡充などデジタル化を推進する「スマート東京の実現」、温室効果ガスの排出量実質ゼロを目指す「ゼロエミッション東京の実現」の4分野に重点的に予算を配分したという。 各項目の新規事業例は以下の通り。 (1)子育て支援 ・「私立専修学校授業料等減免費用負担金(63億円)」 ・「子供の移動経路における安全確保(1億円)」 ・「道路標識等の視認性向上(2000万円)」 (2)豪雨災害対策 ・「河川における監視カメラの設置拡大(2億円)」 ・「水門等運用に関するICT・AI等の最先端技術の導入検討(3000万円)」 (3)スマート東京の実現 ・「都立大学における5G環境を利用した研究・実証実験等(20億円)」 ・「5Gによる工場のスマート化モデル事業(7億円)」 ・「島しょにおける遠隔医療の実証(1000万円)」 (4)ゼロエミッション東京の実現 ・「太陽光発電による電力の『自家消費プラン』(45億円)」 ・「燃料電池バスへの外部給電器の配備(1億円)」 ・「都立学校のゼロエミッション化の推進(2000万円)」
多摩モノレール延伸関連も「新規」計上
他にも、「多摩都市モノレールの整備(1億円)」も新規事業となった。これは、市内に電車・モノレールの交通網がなかった武蔵村山市が、隣接する東大和市と瑞穂町とともに毎年都に求めてきた多摩都市モノレールの延伸に向けた現地調査や基本設計など。延伸区間は同モノレールの上北台駅と、JR箱根ケ崎駅の間の約7キロメートルで、小池知事は「これによって事業化に向けた一歩を踏み出すことになる」と語った。
都債残高は8年連続減
歳入のうち、都税収入は、地方法人課税の見直しにより法人2税(法人事業税、法人都民税)が減ったため、同1.1%減の5兆4446億円と前年度より減少した。都債発行額は、前年度比0.6%減の2084億円と引き続き発行額を抑制。都債残高は、4兆7875億円と8年連続の減少となった。 (取材・文:具志堅浩二)