前田敦子、「性暴力と心の傷」という難題に挑む映画で…リアリティのある芝居はどう生まれたのか?
熱烈オファーを経て、念願の初タッグだった
──今回の出演は三島監督直々の熱烈オファーだったとか? 実は6年ほど前から三島監督には「一緒に映画をやろう!」と言っていただいていました。でも、それが叶わないうちにコロナ禍となり、映画が撮れない状況もどんどん過酷化していって。そんな中で三島監督はご自身の過去をモチーフにした物語を、自主制作体制で作るという大きな決断をされて、約束を叶える形で初タッグが実現したんです。その結果「一生一緒にやっていこう!」と想い合えるような絆と作品作りができたと思っています。私自身、もっともっと三島監督とご一緒したいと願っています。 ──相思相愛の念願の初タッグだったわけですね!ちなみにどうして三島監督は前田さんをずっと推し続けていたのでしょうか? 実は私も「なぜだ?」といまだに謎で……。不思議ですよね。 ──いやいや、その理由は直接三島監督に聞くべきですよ! え~!? そんなこと聞けるわけないじゃないですか! 「どうしてそんなに私を想い続けていたのですか?」って? ……む、無理です、私からなんておこがましくて直接聞けません(笑)。
共演の坂東龍汰は、真っすぐな強さがある
──共演の坂東龍汰さんもいい味を出していましたね! 自分の子どもを見ていると、幼い子というのはわからないものをわからないとはっきり言える素直さがあって、自分のほしいものに対して貪欲です。坂東君はそこからそのままピュアに大人になったような方で、人に対して壁がなくて忖度もない。役者として昇り詰めていきたいという前向きな熱意を素直に訴えることもできる。わからないことがあると知ったかぶりをせず恥ずかしがらず、「わからないから教えて!」と真っすぐに言える強さを持っている。これからどんどん吸収して大きな役者さんになっていくだろうという実感があります。 ──坂東さんにインタビューをしたところ、前田さんとのラブシーンにかなり緊張されていたようです! そうでした、「そんなに緊張する!?」というくらい緊張されていました(笑)。三島監督も坂東君のそんな素直さを愛おしく思っていたみたいで、現場のみんながお母さんのようになっていました。緊張していることを隠して「大丈夫です!」と強がる人もいる中でピュアな気持ちを維持できるのは素敵なこと。私もついつい「そのままでいなよ!」とエールを送ってしまいました。 ────J-WAVE NEWSは、音楽に力を入れるラジオ局のJ-WAVEが運営しています。そこでお聞きします。前田さんが今ハマっている曲はありますか? 羊文学さんの『呪術廻戦 渋谷事変』のエンディングテーマ『more than words』です。アニメにハマった私が息子に「ママこの曲好き!」と言ったら息子も「僕も!」と言ってくれたので「よしっ!」と。今ではこの曲を家で聴きながら私は台本を覚えて、息子はノリノリで粘土を作っています。息子は私が元アイドルであることを知っているので「ママ、この曲を歌って」とリクエストしてきたりします(笑)。 後編では、仕事もプライベートも充実した、今の前田敦子の素顔に迫る。 <取材・撮影=石井隼人、ヘアメイク:高橋里帆(HappyStar)/スタイリング:有本祐輔(7回の裏)> ■作品情報 『一月の声に歓びを刻め』 2月9日(金)テアトル新宿ほか全国公開 出演:前田敦子、カルーセル麻紀、哀川翔 坂東龍汰、片岡礼子、宇野祥平 原田龍二、松本妃代、とよた真帆 脚本・監督:三島有紀子 © bouquet garni films ■衣装クレジット ・トップス、スカート ともにGANNI /ガニー ・ピアス Rieuk / リューク ・リング ブランイリス トーキョー