恋は条件反射…科学的に「モテ」を考えればあなたもモテる
【科学が証明!ストレス解消法】#169 「モテる」という言葉があります。広辞苑によれば、「もてる」は「もてはやされる。ちやほやされる。人気がある」という意味になります。 「モテる」とカタカナ表記が交じることも珍しくないこの言葉は、実は江戸時代の文献にも出てきている言葉なので、歴史のある言葉でもあるんですね。 人を好きになるとはどういうことなのか──。少し考えてみたいと思います。 甘酸っぱい気持ちになったり、胸がキュンとしたり、好意を寄せる人を見ると胸が高鳴ります。しかし、学者の世界では、好きになるということは、いわゆる条件反射(レスポンデント条件付けのひとつ)と考えられています。 いうなれば、誰か特定の人に対しての条件反射のように感情的反応を起こすということになります。味気ないかもしれませんが、好意とはそういうことなんですね。 例えば、「〇〇さんの話は楽しい」と思うところからスタートしたとします。それを繰り返していくうちに、「〇〇さんと話すと楽しい」と感じるようになり、「〇〇さんが視界に現れるだけで、何かワクワクする気持ちが湧いてくる」といった条件反射が出るようになっていく。結果的に、この状況が「恋をしている」という状態になるわけです。 究極的には、好きという感情が条件反射ならば、モテるためには相手が喜ぶ条件反射を起こす状態をつくり出すことだといえます。 近くにいる人を好きになるというのは、恋愛の大原則でしょう。遠い人や接点がない人には、なかなか恋愛感情を起こそうにも起こせません。「接近性」と呼ばれる条件です。人間には話をするときに、適切な距離というものがあり、パーソナルスペースはその好例です。 文化によって、“適切な距離”は異なるのですが、日本人であれば大体1メートル。アメリカ人であれば40~50センチほどといわれています。この適切な距離より近くなると、人は緊張してしまう、あるいは警戒心を抱くというわけです。 しかし、ときにこの条件反射が誤作動のように勘違いすることがあります。それが、心理学でも有名な「吊り橋効果」です。不安や恐怖などの生理的興奮状態を、恋愛感情と間違えて認識してしまう心理現象を指しますが、言ってしまえば単なる勘違いに過ぎません。 吊り橋効果のせいで、恋愛のドキドキと勘違いしてしまい、心の距離を縮ませてしまう。そのため、ホラー映画を見に行くことや、ジェットコースターに乗ったりすることも、距離を縮める際に効果的だともいわれています。 自分はモテないと思っている方は、科学的に「モテる」を考えてみてください。接近性が大前提として必要なこと。そして、条件反射としてプロセスを育んでいくことです。ときには、吊り橋効果を取り入れてみるのもいいでしょう。その上で、清潔感を心がける、気遣いを忘れないといった最低限のことに気を配る。 イケメンではなくてもモテる人は、こうしたことを心掛けているからモテるのです。 (堀田秀吾/明治大学教授、言語学者)