トランプ氏追加関税、米雇用者数の伸び月7万人分削減も-モルガンS
(ブルームバーグ): モルガン・スタンレーのエコノミストは、米共和党の関税引き上げ提案が実行に移された場合、インフレが加速し、米経済成長が打撃を受けて雇用を押し下げるとの予想を示した。
セス・カーペンター氏らエコノミストは「提案されている関税が完全に実施された場合、インフレが短期的に加速し、国内総生産(GDP)伸び率が遅れて低下すると見込まれる」と9月30日のリポートに記した。
同行のエコノミストとストラテジストは、トランプ前大統領が返り咲き、海外からの輸入品に一律10%、中国からの輸入品には60ポイントの追加関税を直ちに課すシナリオをモデル化した。これによって米産業の約半分が平均最大25-35%の関税を課されることになると試算している。
「過去の経緯から判断すると、インフレ面の影響は比較的迅速に生じる」との見方を示した。このモデルでは、米金融当局がインフレ指標として重視する個人消費支出(PCE)価格指数が4四半期に0.9ポイント押し上げられると示されている。
関税引き上げは消費のほか投資支出も圧迫し、輸入減少によるGDPへのプラス効果を相殺すると同行はみている。GDP伸び率は「数四半期に」1.4ポイント鈍化すると推計されるという。
米国の雇用者数は今年の平均が月間18万4000人増だが、モデルによれば、増加幅は月間5万-7万人分減る見込み。
カーペンター氏らは、関税引き上げが「経済に与える影響の大きさ」は、最終的な引き上げ規模やそのタイミング、貿易相手国・地域による報復、為替市場の反応など具体的な状況次第だとした上で、「だがその方向性は明らかだ」と論じた。
トランプ陣営に対しコメントを求めたが、30日時点で返答はなかった。
原題:Morgan Stanley Warns of 70,000 US Monthly Jobs Hit From Tariffs(抜粋)
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Chris Anstey