10月からふるさと納税の「ポイント付与」が禁止に! ふるさと納税はどう変わる? 制度の“変更点”を解説
総務省からふるさと納税の制度改正が発表されました。制度改正では「ふるさと納税サイトによるポイント付与の禁止」が大きく報じられ、ポイント付与がなくなるなんてと驚いた人も多いでしょう。 本記事では、今回のふるさと納税制度改正の背景と、制度の変更点について解説します。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる?
ふるさと納税制度改正の背景
そもそもふるさと納税は、今住んでいる場所だけではなく、生まれ育ったふるさとに自分の意思で納税できる制度があっても良いのではないか、との考えから生まれた寄附制度です。ふるさとだけではなく、自分が選んだ応援したい自治体に寄附できるうえ、自己負担額2000円以外は所得税と住民税から全額控除される仕組みです。 これにより、納税者はより地方行政に関心をもち、自治体はより良い施策を行うきっかけにしてほしいとの国の願いがありました。 純粋に応援したい自治体に寄附し応援できる制度でしたが、返礼品目的の寄附が増え、地域間の返礼品競争が激化してしまいました。その結果、返礼品が人気の地域に寄附が集中し、ふるさと納税の受入額に格差が生まれています。
ふるさと納税のポイント付与禁止とは?
これまでのふるさと納税では、ふるさと納税サイトを通して各市町村に寄附をし、返礼品を受け取るものがほとんどでした。現在ふるさと納税サイトは数多くありますが、代表的なサイトには次のようなものがあります。 ・楽天ふるさと納税 ・ふるなび ・さとふる ・ふるさとチョイス ・ANAのふるさと納税 20サイト以上あるふるさと納税サイトの半分以上が、それぞれサイト独自のポイント付与を行っています。例えば1万円の寄付に1000円分のポイントが付与されたとすると、これは実質的にキャッシュバックであると考えられます。 消費者側から見れば、どうせ納税するのならポイントが多く付与されたほうが良いと考え、ふるさと納税サイト同士の競争も激化していきました。 総務省はこのような状況に「待った」をかけました。各自治体はふるさと納税サイトに仲介手数料を支払っていますが、各サイトがポイント付与をしなければ仲介手数料が減り、各自治体で使える資金が増えるのではないかとの見解を出しています。 これにより、2025年10月1日からはふるさと納税サイトでの独自ポイント付与を禁止するなどの制度改正に踏み切ったのです。 2025年10月1日から禁止となることは次の通りです。 ・ふるさと納税サイト独自のポイントやマイルなどでの還元をすること ・返礼品などを強調した宣伝をすること ・適切な寄附先選択を阻害するような表現をすること ・地域と関連性が薄い、または他の地域でも使える利用券などを発行すること ここからは制度改正について、1つずつ詳しく解説していきます。 ■ポイント還元の禁止 ふるさと納税サイトなどを通して寄附を行う際に、ふるさと納税サイト独自のポイントやマイルで還元するのも現金同様と捉えられ、禁止となります。ただしこれまで同様に、寄附をクレジットカードで決済した際、クレジットカード利用額によって付与される通常のポイントは認められています。 ■返礼品を強調した宣伝の禁止 各自治体やふるさと納税サイトが、新聞などの広告媒体にふるさと納税について掲載するときは、返礼品をアピールする内容は認められないこととなりました。 ふるさと納税で寄附された資金の使い道を紹介して支援を呼びかけたり、移住や市町村をアピールしたりするための掲載は認められます。また、これに付随して返礼品があることの掲載は可能です。 ■適切な寄附先選択を阻害する表現の禁止 純粋に市町村を応援したい気持ちからの寄附を募るため、適切な寄附先選択を阻害するような返礼品の表現は禁止となります。総務省の発表では、次のような文言が認められない例として挙げられています。 ・お得 ・コスパ最強 ・ドカ盛り ・圧倒的ボリューム ・おまけ付き ・セール ・買う ・購入 ・還元 また、本来の寄附金額1万円を8000円に引き下げるなどの必要寄附金額の引下げや、10個入りを11個にするなどの個数の増量も、実質的なセールとなり認められません。 ■地域と関連性が薄い、または他の地域でも使える利用券などを発行すること これまでもふるさと納税では、地域との関連性が強い返礼品を用意する必要がありました。これがより明文化され、例えば商品券を発行する場合、その地域で生産された農作物のみを取り扱う直売所の商品券は認められますが、地場産品以外も販売しているお店の商品券などは認められないこととなりました。