天敵不在 錦織にVチャンス到来!
グランドスラム初制覇へ向け、錦織圭のシーズン最初の挑戦が始まった。 1回戦の相手、ニコラス・アルマグロは世界69位だが、足のケガで8ヶ月近くツアーを離れていた間にランキングが落ちただけで、1年前は14位、自己最高は9位という実力者だ。先週ツアーに復帰したばかりだが、「タフな試合は覚悟していた」と錦織。しかし苦戦の度合いを想定内におさめる6-4 7-6(1) 6-2のストレート勝ちで「十分な出だしだったと思う」と振り返った。 このアルマグロは今大会に間に合わせることができたが、周りを見渡せば、シーズンは始まったばかりだというのに、故障選手の多さに驚かされる。全米オープンで錦織と決勝を戦ったマリン・チリッチも、08年にこの全豪で準優勝して自己最高位は5位のジョーウィルフライ・ツォンガも、昨シーズン末のケガをオフの間に治しきれず、今大会を欠場した。
中でも残念なのは、09年の全米覇者で元世界4位のファンマルティン・デルポトロだ。左手首のケガで昨年3月から戦列を離れ、先週のシドニーで復帰したものの、その後全豪オープンの欠場を発表した。デルポトロは錦織が18歳で鮮烈デビューした当時から同世代では将来最大のライバルになるだろうと見られていた超パワフル・プレーヤーである。 グランドスラム優勝を狙う錦織の行く道に立ちはだかるのは、ノバク・ジョコビッチ、ロジャー・フェデラー、ラファエル・ナダルの〈ビッグ3〉という見方が、最近では当然のように語られるが、錦織にとっての“天敵”はむしろビッグ3以外のところにいるようにも思う。ナダルから勝ち星がないことは、わりと知られているが、4度以上対戦して全敗の相手はそのナダル(7敗)以外にも3人いる。リシャール・ガスケ(5敗)、ヤンコ・ティプサレビッチ(5敗)、そしてこのデルポトロ(4敗)だ。 錦織は大躍進した昨年の後半、その誰とも対戦していない。それには、デルポトロだけでなく、ナダルも右手首のケガと虫垂炎が原因で欠場と不振が続き、ティプサレビッチにいたっては左足の故障で昨年は1試合も戦えなかったという事情がある。