96歳中村たつ、91歳岩崎加根子らが築地小劇場100周年シンポジウム開催へ
築地小劇場開場100周年を記念したシンポジウムの開催発表会見が7日、都内で行われた。 【写真】会見を開いた91歳の岩崎加根子 同劇場は日本の現代演劇の出発点として多大な功績を残したが、開場から21年後の1945年(昭20)に空襲で焼失した。節目の年を迎え、現代演劇の源流の記憶を残し、その精神を継承するためにシンポジウムを企画。また、築地駅前の再開発に伴い、劇場跡地にあるモニュメントの存続への機運も盛り上げていくという。 会見には俳優座の中村たつ(96)岩崎加根子(91)、文学座の鵜澤秀行(80)、劇団民藝の小杉勇二(84)が登壇した。 前日に96歳の誕生日を迎えたばかりの中村は「(数えで)97歳です。元気です。でもせりふ覚えは年々悪くなっておりまして…」と話し始め、その後に劇作家・演出家として活躍した久保栄さんとの出会いなどを振り返った。 岩崎は「戦争中は築地小劇場で芝居をしていて国のことを少し話すと『ピー』と笛が鳴ってやめさせられた。怖いところだと…」。そして「私はいち女優として、芝居を伝えるものとしてこれからもやっていけたらいいなと思う」と俳優業への思いを明かした。 鵜澤は「(母校の)日大にも築地小劇場をまねをした建物があって、外観は違うが(同劇場の)ブドウのマークがあった。それを思い出します」。そして「先輩の杉村春子さんが晩年に『経済的に自立しないといけない。政府の補助金や企業の支援は受けないで芝居をやる。大変なことだけど』とおっしゃっていた。今後の世代にも、縛られないで創造活動を自由にしてほしい」と訴えた。 小杉は「先輩たちに伺った大切な話を25日のシンポジウムで話したい」と語った。 シンポジウムは2日間開催する。6月24日は「パート1 戦前編」として、築地小劇場の開場から戦時中の劇団・演劇人がテーマ。同25日は「パート2 戦後編」として、戦後の観客組織から今日に至る鑑賞団体と新劇運動などがテーマとなる。登壇した4人は「パート2」に出演。両日とも東京・六本木の俳優座劇場で行う。