【高校ラグビー】京都工学院・川口士央の2トライでBシード撃破 父から学んだプレー花園で発揮
<全国高校ラグビー大会:京都工学院15-7中部大春日丘>◇2回戦◇30日◇大阪・花園ラグビー場 京都工学院(京都)がBシードの中部大春日丘(愛知)を破って3回戦に駒を進めた。 前半をスコアレスで終えた接戦。後半に入って動いた試合を決めたのは、京都工学院フッカーの川口士央(しおん=3年)だった。 3-8の後半13分、モールから押し込んでトライ。同22分にもモールから川口が飛び込んで連続トライを決めた。「ここでいくしかない、と思って一気にいきました。2トライ挙げられるなんて思っていなくて、めちゃめちゃうれしかったです」。1万人の観衆が見守る中での緊迫した試合を制し、川口は笑顔で喜んだ。 ラグビーのいろはは、元トップリーグ選手の父から教わった。事前アンケートで「目標とする選手」の項目に書いたのは、父和晃さん(44)の名前。京都成章から京産大に進み、セコムでプレーしたフッカーが、ラグビーを始めるきっかけにもなった。「ボールをもらって(相手に)当たる前にショートステップを踏んで、相手の肩にヒットして前に出ること。ヒットの部分はよく教えてもらっています」。同じポジションでプレーした最高のお手本から、多くを学び、それを花園で発揮した。 スタンドで観戦した父も、息子のプレーを手放しでたたえた。「家ではラグビーの細かい話や厳しさをずっと言ってきた。今日ああいうところでしっかり取り切れたのは安心したし、言った通り頑張ったなっていう思いですね」。シード校を破る立役者になった士央の活躍を穏やかな表情で振り返った。 2トライには「あれがなかったら勝てなかったし、良かった」と話しながらも、父がより評価したのはFWとしての仕事だった。「あのトライは、FWのモールの力もあったから。しっかり抑えるという役目を果たしたなと思います」。 Bシードの相手を破ったからといって、満足しているわけではない。士央は父から「3年間やってきたことを全部出し切れ」の言葉を胸に、1月1日のBシード国学院栃木との3回戦での勝利を目指して戦う。親子で培ってきた力を発揮する機会は、まだまだ増やすつもりでいる。【永田淳】