<フジロック’24出演>レイ(RAYE)が語る、インディーズでの全英1位獲得&【BRITs】歴史的快挙への軌跡
約3年前、レイ(RAYE)は自身のレーベルの状況について、「ベッドから出たくないし、孤独を感じている」とツイートした。2014年に契約したポリドールは、彼女のシングルが一定の商業的成功を収めない限り、楽曲のリリースを禁じていたのだ。そんな彼女は現地時間2024年3月2日、【ブリット・アワード2024】(BRITs)で7つのノミネートのうち6つを獲得し、それをすべてインディーズという立場で達成した。 【ブリット・アワード】の翌日の月曜日、レイはGoogle Meetで米ビルボードとのインタビューに応じ、「2日間の二日酔いから回復中」だと明かした。この高く評価されたシンガー・ソングライターは、<最優秀新人賞>、<R&Bアクト賞>、<最優秀ソングライター賞>、<最優秀楽曲賞>(ラッパーの070シェイクをフィーチャーした「Escapism」)、<最優秀アーティスト賞>、<最優秀アルバム賞>(『My 21st Century Blues』)の6部門を受賞し、当然ながら週末を祝って過ごしていたのだろう。特に<最優秀アルバム賞>が一番意義深かったという彼女は、「子どものように号泣しました!」と述べた。 レイを現在の世界的なポップスターの時代へと導いた音楽ディストリビューション会社、ヒューマン・リ・ソーセス(Human Re Sources)の創設者であるJ・アーヴィングが、彼女の後ろに置かれた巨大なテディベアの椅子の上でくつろいでいる。Google Meetのウィンドウとしてはなかなか絵になる光景だ。この巨大なテディベアは、ナイジェリア出身のDJ兼プロデューサーのDJカッピーからの贈り物で、ポリドールからの移籍後にレイに贈られた。彼女は、「(アルバムの)ボーカルとかを仕上げている時、私はそのテディベアの上にいたんです!」と明かす。 そのアルバムとはもちろん、大胆不敵なソングライティングと大げさなボーカル・パフォーマンスが刺激的な力作である『My 21st Century Blues』だ。レイはビッグ・バンド・ジャズ、ブーンバップ、ゴスペル、ダンス、R&Bを含む広大なサウンド・パレットに乗せ、性的暴行のトラウマ、身体醜形障害、薬物乱用、信仰の旅、そして一般的な実存主義などと向き合っている。まさに万華鏡のようなこのアルバムは、レイがかつて所属していたレーベルから受けたメッセージ、そして彼女の特異な芸術的ヴィジョンを剥奪しようとした他のレーベルへの完全なアンチテーゼとなっている。 2021年7月にポリドールと別れたレイは、ディストリビューションを中心とした音楽&エンターテインメント会社であるザ・オーチャードの子会社、ヒューマン・リ・ソースと契約した。そこから彼女は、“最も協力的で美しいチーム”と共に、デビュー・アルバムのためのキャンペーンを適切に展開し、【ブリット・アワード】での歴史的な夜まで駆け抜けた。授賞式でレイは、 「Prada」(2021年のディーブロック・ユーロップとのコラボ曲「Ferrari Horses」をCassöのプロデュースでリワークしたバイラル・ヒット)のオーケストラ・アレンジ、UKチャートで首位を獲得した「Escapism」、そして音楽プロデューサーから受けた性的暴行について歌った痛ましい「Ice Cream Man」などからなる人目を引くメドレーを披露した。