清水隆行氏「不振時なら空振りしたかもしれない」特大アーチ前の1球に巨人・岡本の復調を見た
◆日本生命セ・パ交流戦 日本ハム3―3巨人=延長12回=(16日・エスコンフィールド) 2戦連発の岡本和は、確実に復調気配だ。4回の特大の一発は2ボールからの甘いスライダーを捉えた。特筆すべきはその前の1球。1ボールからのフォークは誘われてもおかしくない外角低めの厳しいコースだった。これを打ちにいきながら余裕を持ったいい形で見逃していた。不振時なら空振りしたかもしれない。見逃し方の変化は、球の見え方も変わったということだ。 打撃自体もセンター方向への大きなフォロースルーが戻ってきた。インパクトで「バットのヘッドと背中が引っ張り合っている」という表現がしっくりくるようなものだが、上体が前に突っ込まず残っているからできることで、ボールとの距離が取れるから打球に角度と飛距離が生まれる。 ヘルナンデスの一発も見事だった。彼の特徴として自分をコントロールできることが挙げられる。8回2死無走者、フルカウント。「ストライクがくるだろう」と割り切って強振する選手も少なくないケースでも、ボールの見極めを頭に置きつつ、甘く入った球に反応し、コンパクトなスイングで運んだ。大きな穴が見当たらず、2番の時は1番の丸といいコンビを形成したが、3番に入っても、4番・岡本和と相手に重圧をかけられるクリーンアップとなれる。今のチームに貴重なピースだ。(野球評論家・清水 隆行)
報知新聞社