施工業者「利用された」 長崎・南島原のサテライトオフィス問題で百条委 補助金は別会社に流れる
長崎県南島原市深江町の道の駅「ひまわり」に企業誘致のための「サテライトオフィス」を整備する事業が頓挫し、補助金9千万円が返還されていない問題で、南島原市議会の調査特別委員会(百条委員会)は20日、工事の補助金を受給した施工業者を証人尋問した。業者は請負金額500万円以上の工事に必要な建設業許可を取得しておらず「工事の資格がなかった」と明らかにした上で、補助金を別の会社に流すために「利用された」と証言した。 業者は9千万円のうち、6千万円が福岡市の下請け業者、2400万円が紹介者のコンサルタント2社に渡ったと明らかにした。尋問された山口周一副市長は、不透明な補助金の流れについて「絡みは知らない」と関与を否定した。 施工業者は福岡市の「成和」。月原健敬(たけゆき)代表取締役は証人尋問で、サテライトオフィス事業者のエバーグリーン(佐世保市)と工事の契約をしたと認識していたが、南島原市から直接、工事前に9千万円が概算払いされたと証言。「驚いた」と述べた。 仕事を紹介されたコンサルタントの指示で、9千万円のうち、下請け会社に改装工事費6千万円▽コンサルタント2社に人材派遣などの名目で計2400万円▽デザイン会社に500万円-を支払ったと説明。「工事資格もないのに元請けにされ、心苦しかった。コンサルタントの『南島原市も了承している』という言葉に乗り、うまい具合に利用された」と述べ、謝罪の意を示した。 証人尋問された山口副市長は「コンサルタントの一部とは以前から関わりがあるが、成和とコンサル、下請けとの絡みは知らない」と強調した。「エバーグリーンや成和が適切にしていれば概算払いは問題にならなかった」と反論した上で「不適切な業者と見抜けなかった市にも責任の一端はある」と述べた。 次回は27日。施工に関わったコンサルタントを証人尋問する予定。