大谷翔平は打球を見つめて確信歩き

【カリフォルニア州ロサンゼルス21日（日本時間22日）発】ドジャースの大谷翔平投手（29）は本拠地のメッツ戦に「2番・DH」で先発出場し、3回に8試合38打席ぶりの1発となる5号を放った。米通算176本塁打は松井秀喜を超え、日本選手最多だ。5回無死一、二塁は投手強襲安打を放ち、3打数2安打2打点。チームの連敗ストップに貢献した。ここからアーチ量産だ。　 　ゴジラ超えの一発が出たのは3回一死一塁だった。相手先発の右腕ハウザーの1ストライクからの2球目、真ん中の81・7マイル（約131・5キロ）のスライダーを豪快に振り抜いた。打球を目で追って確信歩き。角度30度、打球速度110マイル（約177キロ）でロケット弾をカリフォルニアの青空に打ち上げると、ドジャー・スタジアムのファンは総立ちで大歓声、右翼手が全く反応しない完璧な一撃だった。 　大谷は一塁ベースを回ると人さし指を高く突き上げた。メジャー通算176本目の本塁打となる5号先制2ランは右翼席中段へ突き刺さった。飛距離423フィート（約128・9メートル）の特大の一発だ。MLB公式サイトは「大谷が松井を抜いて日本生まれのMLB選手で最多本塁打となった」と速報した。 　ベンチに戻るとT・ヘルナンデスから恒例の“ヒマワリの種”シャワーで祝福。ナインも笑顔だ。 「早く打ちたいと思っていたので、まず打てて安心と喜びとどっちもあるかな」。チームが連敗を止めたこともあり、試合後、安堵の表情を浮かべた。 　3連敗はいずれも先手を取られており、先取点がほしい展開で出た一発は間違いなくドジャース打線に勢いを付けた。ベッツの中前適時打で3―0とリードを広げた5回無死一、二塁はカウント1―2からの5球目、内角低めの92・8マイル（約149・3キロ）のシンカーを中堅返し。打球速度101マイル（約162・5キロ）の弾丸ゴロはマウンドのハウザーを直撃する投手強襲安打となった。マルチ安打は3試合ぶり、今季11度目だ。続くフリーマンが右翼へ2点適時二塁打とMVPトリオ全員が打点を記録。さらにスミスが左越え2点適時二塁打、最後はパヘスが中堅へメジャー初アーチの1号3ランを放ち、一挙8点を奪った。 「今日をきっかけにもっともっとつながりのあるいいオフェンスできると思う」 　8回を7安打無失点、10三振無四球で4勝目を挙げた先発グラスノーを「先発したグラスノーは素晴らしいパフォーマンスだった」と絶賛。実は、昨年12月にトレード移籍する際に大谷は「来季は先発ローテーションで一緒にやることはできないけれど、あなたのために本塁打を打ちたい」とビデオメッセージで勧誘。移籍1号を放った3日（同4日）のジャイアンツ戦も先発グラスノーだった。 　試合終了時点で打率3割6分8厘、35安打、11二塁打、17長打、63塁打はメジャートップ。個人タイトルを狙うことはないが、大谷が数字を積み重ねることがチームの勝利につながる。 「個人的には特別な1本でしたけど、もうこれからシーズンはどんどん続いていくので、明日オフですけど、ロード行ってまたゲームが続いていくので早いところ切り替えて次に臨みたいなと思います」 　大谷が見ているのはワールドシリーズ制覇だけだ。