イーサリアムETFが待っているにも関わらず、トレーダーはビットコインを好む

スタンダード・チャータード（Standard Chartered）は1週間前に、アメリカ証券取引委員会（SEC）が5月にイーサリアム（ETH）スポット上場投資信託（ETF）を承認する可能性があることから、ETHは今後3カ月で4000ドルまで急騰し、ビットコイン（BTC）を上回る可能性があると述べた。 しかし、トレーダーは引き続きETHよりもBTCを選好しており、先物データによると、今後数カ月間、ETH/BTCレシオの継続的な下落を予想している。。 暗号資産（仮想通貨）運用会社Blofinが追跡したデータによると、ETH/BTCの先物期間構造は、さまざまな満期のイーサリアム先物とビットコイン先物の価格の比率を計算したもので、現在は右下がりになっている。 Blofinのボラティリティトレーダーであるグリフィン・アーダーン（Griffin Ardern）氏は「右下がりの期間構造は、トレーダーが時間が経つにつれてETHのパフォーマンスがBTCよりも弱くなると予想していることを意味する」と述べた。「これは投資家がBTCのパフォーマンスに対して比較的強気であることを示している」。 ETH/BTCレシオは、SECがビットコインのスポットETFを承認した数日後に17%急騰し、0.059になった。イーサリアムのアウトパフォームは主に、規制当局がまもなくイーサリアムのスポットETFを承認するとの期待から生じた。その期待はまだ生きているものの、ETH/BTCレシオはその後0.053まで後退した。 先物トレーダーは、SECがイーサリアムを証券または商品（コモディティ）に分類することを懸念しているかもしれない。SECが2023年半ばにバイナンス（Binance）とコインベース（Coinbase）を証券法違反で提訴した際、イーサリアムについては言及しなかったため、この暗号資産はスポットETFの承認に必要な条件であるコモディティとみなされると市場は確信している。 投資銀行大手のJPモルガン（JPMorgan）は、SECが5月までにイーサリアムをコモディティに分類することに懐疑的で、今年中にETHのスポットETFが承認される可能性は50％以下と見ている。 「イーサリアムがプルーフ・オブ・ステークであることによってビットコインとは異なる資産分類に入る可能性があり、スポットETFについては、多くの不確実性が存在する」とシンガポールを拠点とする機関投資家向け暗号資産取引会社QCPキャピタルは、1月29日付のノート「Options Vol-cast」で述べている。「不確実性が高まるということは、ボラティリティが高まるということでもある」。 SECは最近、ブラックロック（BlackRock）とフィデリティ（Fidelity）のETHスポットETF申請に関する決定を延期した。ブルームバーグのアナリスト、ジェームズ・セイファート（James Seyffart）氏によると、延期は今後も続く可能性があり、次の重要な期日は5月23日だという。 Spot Ethereum ETF Delays will continue to happen sporadically over the next few months. Next date that matters is May 23rd https://t.co/2zBBvHkrVk ― James Seyffart (@JSeyff) January 24, 2024 アーダーン氏によると、イーサリアムのパフォーマンスが比較的低調であるとの見方は、マーケットメーカーによるヘッジ活動の可能性に対する懸念から生じている可能性が高いという。 イーサリアムの高ストライク・コール・オプションや強気ベットの継続的な売りは、マーケットメーカーにネット・ロングのガンマ・エクスポージャーを残しているとアーダーン氏は指摘する。そのため、マーケットメーカーは価格上昇に伴ってイーサリアムを売り、エクスポージャーをニュートラルに戻すヘッジを行う可能性が高い。このヘッジは上値を抑える可能性がある。 「投資家がETHのパフォーマンスが相対的に弱いと予想する理由の1つは、大量のカバード・コールがETHオプション市場を支配していることであり、マーケットメーカーは記録的なポジティブ・ガンマを保有している」とアーダーン氏は述べている。 ｜翻訳：CoinDesk JAPAN｜編集：井上俊彦｜画像：Blofin｜原文：Traders Prefer Bitcoin to Ether Despite Developing Spot ETH ETF Narrative