もうすぐ定年ですが、住宅ローンが「1000万円」残っています。退職金1500万円が出るなら“一括返済”すべきですか?「団信」がなくなるのはデメリットでしょうか?
定年退職時に住宅ローンが残っている場合、「退職金で住宅ローンを完済してすっきりしたい」と考える人も多いでしょう。とはいえ、住宅ローンの残高が多いと、一括返済した方が良いのか、しない方が良いのか迷うものではないでしょうか。 ▼住宅ローンは「繰上げ返済」すべき? メリットについて解説 本記事では、定年を機に1000万円の住宅ローンを退職金1500万円で一括返済した方がよいかどうか解説します。
住宅ローンを一括返済するメリット
まずは住宅ローンを一括返済することによるメリットをみていきましょう。 住宅ローンの一括返済で最も大きなメリットとして挙げられるのは、支払う利息がなくなる点です。本来であれば、残高に課されるはずだった利息が一括返済によりなくなりますので、完済までの総支出金額を減らすことが可能です。 また、定年後に再雇用や再就職をして働いたとしても、多くの場合は収入が減ってしまいます。国税庁の「令和4年分民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の平均年収は50代までは年齢を重ねるたびに増加していますが、そこから先は下がっていきます。 収入が下がる中、毎月のローンの支払いがしんどいと感じることもあるでしょう。一括返済すると、その分支出が浮くため、収支のバランス改善につながります。また、変動金利で住宅ローンを借りている場合、今後の金利上昇を心配する必要もなくなるでしょう。
住宅ローンを一括返済するデメリット
住宅ローンを一括返済する際には注意したいデメリットもあります。 住宅ローンを退職金で一括返済すると、手元の資金が減ってしまいます。毎月の収支は改善されたとしても、貯蓄が少なくなれば老後に必要な資金が足りず、生活に支障が出てしまうかもしれません。 また、住宅ローンに加入する際には多くの人が団体信用生命保険(団信)に加入しています。団信は住宅ローン返済中に死亡や高度障害などが発生した場合、「その後のローン返済が不要になる保険」です。 そのため、定年後にローンを支払っている最中に不幸が起こった場合にはその後のローン支払いは不要になり、多くの退職金を残せるかもしれません。しかし、ローンを退職金で一括返済した後に不幸が起こった場合、退職金は戻ってきません。