【高校野球】「あと一つ」の壁を乗り越えた横浜高 秋の関東大会Vにつながった2つの敗戦
主将は「全員野球」を強調
一方、野手については為永皓(2年)が明かす。7回表に同点適時二塁打、タイブレークの10回表は無死一、二塁から犠打を決めた。 「夏はあとアウト6つが取れませんでした。一番はアウトの取り方。守備からリズムを作るのが、横浜高校の野球。キャッチボールを大切に。打撃面もトスバッティングから基礎を反復練習してきました」 終盤の詰めも大事だが、高校野球は立ち上がりも勝敗を左右する。試合の入りを大事にし、そのためには、練習冒頭から集中力を高めてきた。例えば、シートノックのボール回しの1球目から、神経を研ぎ澄ませる。スキのない野球を目指し、公式戦で実践できたのだ。 主将・阿部葉は組織力について言及する。健大高崎高との決勝では158キロ右腕・石垣元気(2年)を攻略。「全員野球」を強調する。 「チームの勝利につながる役割を、個々が発揮することができた。石垣投手に対しても、スピードボールに振り負けないように、練習から対策を練ってきました。自分たちはどんな状況、相手にも対応する力があります」 決勝後、主将・阿部葉は歓喜の涙を流した。 「プレッシャーから解放されたというよりは、うれしさのほうが大きかったです。県大会で優勝した後、村田監督と『関東で優勝します!!』と約束したんです。17年ぶり? 2007年は自分たちが生まれた年ですね。自分たちが、強い横浜高校にしていきたい」 関東大会優勝校は明治神宮野球大会に出場する。横浜高が名乗りを上げるのは17年ぶり4回目。初戦(2回戦)では四国地区代表・明徳義塾高(高知)と対戦する。 「神宮球場には行ったことがないので、楽しんでプレーしたいです。一戦必勝の思いでやれば、結果はついてくる。しっかり、準備をしたいです」(主将・阿部葉) ついに「あと一つ」の壁を乗り越えた横浜高は、新たなステージへと突入する。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール