【車いすラグビー日本代表/カナダカップ2024】パラリンピック前哨戦で日本が全勝優勝!大会2連覇を果たす
会場を見渡すと、日本の大応援団が観客席を埋めていた。カナダ在住の100人を超える日本人が訪れ、まるで「ホーム」のような雰囲気で日本代表を後押しした。 この力強い声援、そして時差がありながらもライブ配信を見て日本から応援してくれるファンもいた。その期待に応えようと、選手は後半に向け集中力を高めた。 第3ピリオド序盤、日本はわずか30秒ほどの間に5連続得点を挙げ、一気にオーストラリアを突き放す。勢いを増す日本は相手のディフェンスを振り払い、42-32で試合は最終ピリオドに入った。 起死回生を図ろうとオーストラリアも決して手を緩めない。ただ、その心を折るように、チーム一丸となって戦う日本のハードワークが続く。会場には「ニッポン、がんばれ!ニッポン、がんばれ!」と大きな声援が鳴り響いた。 そこで、岸 光太郎ヘッドコーチがクローザーとして起用したのは、橋本―中町俊耶―乗松聖矢―草場龍治と若手メンバーによるラインアップだった。
草場は昨年10月にフル代表デビューを果たし、今回のカナダカップが3回目の国際大会(次世代レベルの大会を除く)という新鋭。スピードを武器に、車いすラグビーの競技歴3年半とは思えないほどの高いパフォーマンスを発揮している。その急成長ぶりにベテランも危機感を覚えるほどだ。 これまでの2大会で得た経験を活かしながら、今大会には「言われたことだけではなく、自分の判断でやろうという意識を持って臨んでいる」と草場。 その言葉を象徴するようなプレーが見られたのが終盤のワンシーンだ。 相手に囲まれた橋本が、転倒しながら苦し紛れにフロントコートにボールを放つ。それをローポインターである乗松と草場の二人が必死に追いかける。スピードに乗った草場が見事にキャッチしてそのままトライ。ベンチから「ナイスラン!」という掛け声が送られた。 そうして、54-46で試合終了のブザー。 日本は全勝優勝を果たし、大会2連覇を達成した。 試合後、勝利を喜ぶセンターコートの円陣にキャプテン、池 透暢の声が響いた。 「4月の国際大会では苦しい戦いのなか優勝し、ひとつ自信がついた。世界トップ6が集まる今大会は、どこまで自分たちのラグビーが通用するのかと臨み、日本が一番強いということを証明できた。この2つの自信は、もし何か不安になりそうなとき、自分たちは成し遂げられるんだと支えてくれる。今回、悔しい思いをした海外のチームは強くなる。それをもう一個超えるということをやっていかなければ、簡単に追い抜かれてしまう。快勝した相手に次の大会で負けてしまった経験もある。そういうことが起きるからこそ、自分たちはこれからも変わらぬ努力をしていこう」