博多駅前ストーカー殺人の寺内被告「懲役20年」 専門家「人生の中心を刑務所で 軽い刑ではない」
テレQ(TVQ九州放送)
殺人やストーカー規制法違反などの罪に問われた寺内進被告に対し、福岡地裁は6月28日に懲役20年を言い渡しました。 この事件は、2023年1月JR博多駅前の路上で元交際相手の川野美樹さんを待ち伏せし胸や背中、頭などを包丁で何度も突き刺し殺害したというものです。事件の前、警察は寺内被告に対しつきまとい行為などを禁じるストーカー規制法に基づく禁止命令を出していました。 その他、寺内被告は川野さんに声をかけた男性を殴り、けがをさせた傷害の罪でも起訴されていて2024年3月に有罪の部分判決が言い渡されています。今回のストーカー殺人の裁判員裁判ではこの傷害罪も含めて量刑が審理されました。 28日の判決で、福岡地裁の冨田敦史裁判長は「強固な殺意に基づく執拗かつ残忍な犯行。犯行は短絡的かつ身勝手。厳しい非難は免れない」として、懲役30年の求刑に対し寺内被告に懲役20年を言い渡しました。 この懲役20年について専門家は。 刑事裁判に詳しい・九州大学法科大学院 田淵浩二教授 「検察官が主張する事実が認められていないので事実がないのを前提に過去の類似事実と比較すると軽いわけではなく、その中では重い方。まだ若い人ですから20年という期間は人生の中心的なところを刑務所で過ごすことになるから決して軽い刑ではない」 今回の裁判で、寺内被告は一貫して川野さんに対するストーカー行為を否定。 「刺したことは間違いないが、待ち伏せしたことは違う」 寺内被告は殺人について認めた一方、ストーカー規制法違反については無罪を主張しました。裁判の争点は寺内被告にストーカー行為があったかどうかです。事件当日の防犯カメラの映像には川野さんと寺内被告とみられる2人が歩く姿が映っていました。 検察は、事件の直前、寺内被告は歩道で3分ほど立ち止まり、寺内被告は川野さんから拒まれていることを分かった上で殺害現場まで追っていったと指摘。「ストーカー規制法違反が成立する」と主張しました。さらに「強固な殺意に基づく一片の慈悲もない残忍極まりないもの」「短絡的・自己中心的な動機に酌量の余地は皆無」であると述べ、懲役30年を求刑しました。 一方、弁護側は「当時、寺内被告に川野さんへの恋愛感情はなかったとした上で待ち伏せはしておらず偶然出会った」「包丁は護身用に持ち歩いていた物であり計画性のない突発的な犯行である」として殺人の罪は認めたものの、ストーカー規制法違反では無罪を主張。懲役17年を求めました。 裁判の中で度々、ストーカー行為を否定していた寺内被告。 「次に連絡すると捕まると思った」 ストーカー規制法に基づく禁止命令が出されて以降、1度も川野さんと会ったり連絡を取ったりしていないと主張しました。そして、最終陳述でも 「本当に待ち伏せなどしていません」 改めてストーカー行為を否定しました。 注目された裁判員裁判での司法の判断。冨田敦史裁判長は、「寺内被告が待ち伏せしていた地点は、博多駅に向かう経路の一つに過ぎないなどの理由から間違いなく待ち伏せをしていたとは言えない。一方で、追従する行為については川野さんへの未練や自分の好意が受け入れられなかったことに対する怨恨が認められ、追従については、つきまとい行為にあたる」としてストーカー行為は成立するとの判断を下しました。 ストーカー規制法違反が認定されたことについては。 刑事裁判に詳しい・九州大学法科大学院 田淵浩二教授 「待ち伏せではない。偶然出合った。でも出会ってからつきまとい行為については恋愛感情を満たす目的でつきまとったということでストーカー規制法違反を認定されたということになっています」
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