わずか1時間の商談で1億円超を受注!商社マンだった私が「一度きりのチャンス」をものにした交渉術
価値を感じてもらえる提案ができれば……
それは、製品在庫の明細だけでなく、現在の生地在庫で生産できる数量、そして今日発注した場合の納期を一覧表にして毎日アップデートするというものでした。 この提案により、「製品在庫もわかるし、追加発注に対応できる生地在庫もわかる。仮に、製品在庫以上の発注があっても、在庫生地で生産できる製品数量と納期がすぐにわかる」という点に価値を感じてもらうことができました。 さらに、私は自社の弱点も正直に伝えました。「縫製に関しては自社工場を持たないデメリットはありますが、それを補うために融通が利く協力工場が数社ありますので心配ありません」と説明しました。 一旦、信頼してもらえると、弱点も好意的に受け取ってもらえるものです。 結果として、この交渉で、初対面からわずか1時間で1億円超の受注を獲得しました。あとから聞いた話では、当社の価格は多少高めで、他社にほぼ決まりかけていた状況だったとのことでした。 このように、機会が限られる交渉であっても、相手の話を傾聴し相手が求めているものを理解し、価値を感じてもらえる提案を行うことで信頼関係を築けるのです。
生駒 正明(株式会社ビジネス交渉戦略研究所 代表取締役/ビジネス交渉コンサルタント)