奈良で「大文字送り火」雨の中戦没者慰霊と世界平和祈る
奈良で「大文字送り火」雨の中戦没者慰霊と世界平和祈る 撮影・編集:柳曽文隆 THEPAGE大阪
奈良県奈良市で15日夜、恒例の「奈良大文字送り火」が行われ、同市内にある高円山に「大」の字が浮かび上がった。
この送り火は、戦没者慰霊と世界平和を終戦記念日に祈る火の祭典として1961年から行われているという。同県出身の戦没者29243人を供養し、毎年多くの人が奈良市内から同山を眺める光景がみられる。 山に浮かぶ「大」の文字を形成する火床は108あり、これは人間の煩悩と同じ数。文字の大きさは、1画目が109メートル、2画目が164メートル、3画目が128メートルもあり、国内でも最大級の大きさだという。
同日夜は、大の字が浮かびあがったころから雨がパラつき、開始から10分ほどで雲に覆われて文字が見えなくなり、同市奈良公園の猿沢池周辺で見ていた人らは「もう終わったの」「せっかく来たのになぁ」といった残念な声が聞かれた。 また、春日大社方面から来た人も「雨が降ってきたからみんなひきあげてますよ」と言いながら、早々と駅の方面へ歩いていく姿もあった。
しかし、さらに10分ほどすると、再び山に大の字が浮かび上がってきた。同市高畑にある鷺池の浮見堂付近では、だんだん消えていく大の字の炎をじっと見つめる夫婦の姿もあった。大阪から来たという40代の男性は「さっき雨で今日はあきらめて帰ろうと思ったんだけど、まさか大の字が出てきて驚いた。お盆のひとコマを奈良で見られてよかった。しっかり祈ります」などと話していた。