フォード、新型7人乗りEV発売中止 「採算合わない」予算削減 ハイブリッドへ注力
3列7人乗りの電動SUV
フォードは、7人乗りの新型EVの発売計画を中止した。開発費用を早期に回収できる見込みがないためだ。 【写真】「アメ車らしさ」を謳った新世代電動SUV【フォード・エクスプローラー(欧州仕様)の内外装チェック】 (31枚) 中止により、19億ドル(約2750億円)のコストを計上する可能性がある。フォードは、EVの新規購入者のコスト意識の高まりと、市場に増え続けるEVの選択肢を懸念材料として指摘した。 今後はハイブリッドの3列シートSUVの開発を優先し、EVへの年間投資額を全体の40%から30%に削減する。 それに伴い、電動ピックアップ「T3」の発売も2025年から2027年後半に延期された。これにより、より安価なバッテリーを使用できるようになるという。 一方、欧州では手頃な価格の電動SUVに焦点を当てており、従来のフィエスタとフォーカスの後継にあたる新型EVを2026/2027年頃に発売する予定だ。プーマのEV版も今年後半に登場する。 フォードのモデルE部門の最高執行責任者(COO)であるマリン・ギャジャ氏は、最近AUTOCARの取材で次のように語った。 「当社にとって重要なのは、手頃な価格で、差別化し、利益を生むことです。我々はあまりにも長い間、安価なセグメントにとどまり続け、損益分岐点か赤字のどちらかにいました」 「問題は、特に中国のような非常に低コストの製造拠点が手頃な価格の自動車を送り出している中、どう競争するかということです」 「そこがジレンマです。真の大衆ブランドになるために、お客様にエクスプローラーのようなクルマに乗り換えてもらいたいのは確かです。米国では手頃な価格のプラットフォームでそれを実現しており、そのプラットフォームを欧州でも活かせない理由はありません」
チャーリー・マーティン(執筆) 林汰久也(翻訳)