【金鯱賞回顧】連覇プログノーシスが見せた「5馬身差」の貫禄 中距離で苦戦の4歳牡馬、ドゥレッツァは伸びしろに期待
ヨーホーレイクの背中を押したもの
2着ドゥレッツァは5馬身も離された。菊花賞を走ったあとで、積極的な運びができなかった。 リズムを整えた結果、プログノーシスの前で流れに乗ったのは悪くなかったが、4コーナー手前の動きたいタイミングで前に壁ができてしまい、それを交わそうと直線で外に持ち出す間に先に内から抜け出されてしまった。5馬身はスパートまで手順を要した分ではあるが、やや離されすぎた。プログノーシスほど末脚が鋭くなく、もう少し自由に動けるレース運びが理想ではないか。 とはいえ、4コーナーで前にいながら離されたのは力差も認めざるを得ない。得意条件ではなかったこと、スムーズにスパートできなかったこと。これらを差し引いても、昨年イクイノックスと対戦してきた5歳以上とは差があるようだ。 しかし、5歳以上にはない伸びしろがドゥレッツァにはある。まだまだ能力の空白地帯が残っており、こうして実戦を重ねていき、そこを埋めていけば逆転できる。いずれ強敵を打ち破る可能性にかけよう。それこそが若さというものだ。 前後半1000m58.4-59.2。ラップを並べれば、12.7-10.7-11.6-11.5-11.9-12.5-12.0-12.0-11.2-11.5で序盤が速く、中盤でわずかに緩み、最後400mが速いというハイレベルな戦いだったことがわかる。途中からハナにいったエアサージュ以下、先行勢がみんな止まってしまった状況を踏まえると、3着ヨーホーレイクは立派だ。 2年前の日経新春杯から屈腱炎で休養。久々の実戦でハイレベルな重賞3着。逆の展開だったことも加味して称えよう。クロウキャニオンの仔といえば、先日RRC(引退競走馬杯)で活躍したクリアザトラックが死亡した報に触れたばかり。天国から兄が応援してくれたのではないか。競馬にはこんな不思議なこともある。 ライタープロフィール 勝木 淳 競馬中心の文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。