ニチガクだけじゃない! 学習塾倒産が過去最多のワケ…背景にSAPIXなど大手塾の寡占状態も
小5から中堅校を目指す「ゆる受験」という選択も
このような「ガチ受験」に対比する形で注目を集めているのが「ゆる受験」だ。中学受験では一般的に小学4年生から進学塾に通い難関校を目指すが、ゆる受験では小5、6の2年間で、労力を抑えながら受験準備を進めることを特徴としている。 志望校の偏差値のラインを下げることで、習い事や趣味との両立も目指せる。近隣の公立中学の評判が芳しくない場合に私立進学を検討する家庭や、中高一貫校に通うことで高校受験を回避したい方針にも適している。 「ゆる受験向けの塾では、生徒一人ひとりの理解度に合わせたきめ細やかな指導を目指しています。大手塾のような規模を拡大する路線ではなく、1~2店舗の小規模な経営スタイルが特徴です。 一般的な塾が中学受験や高校受験に個別特化しているのに対し、私立中学入学から大学まで、子どもの成長に沿った一貫した指導を行ないます。トップ層向けの塾だけではすべての教育需要に応えられないため、このような小規模な塾は今後も一定数は存在し続けるでしょう」 塾選びの際、難関校への合格実績は魅力的に映るだろう。だが、難関校への進学がすべての子どもにとって正しい選択ではないはずだ。 今回のニチガク騒動のように、受験直前に予備校が閉鎖されることは稀だとしても、全国に数多ある、小規模でも特徴ある塾が生き残っていくことは、子どもたちの将来の選択肢が豊かになることに繋がる。 子どもの適性に合わせて、最適な塾を選ぶことができる世の中になることを願うばかりだ。 取材・文/福永太郎
---------- 森上展安(もりがみ のぶやす) 1953年岡山県生まれ。75年早稲田大学法学部卒業。東京第一法律事務所勤務を経て学習塾「ぶQ」を経営後、88年に㈱森上教育研究所を設立。中学受験、中高一貫の中等教育分野を対象とする調査・コンサルティング分野を開拓。私塾・私学向けに『中学受験と私学中等教育』月刊で発行し、セミナーを開催。 中学受験生の保護者対象に「わが子が伸びる親の『技』(スキル)研究会」セミナー を主催。 プロフィール写真/撮影:平野晋子 ----------
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