能登地震1年「関連死防ぐ」と半島巡り続けた医師 原点は阪神大震災、次の災害備え日記
だが、被災地が前を向き始めていた9月下旬、能登半島を未曽有の豪雨が襲った。直後の健康観察では多くの被災者から意気消沈した声を聞き、複合災害が与えた被害の甚大さを切実に感じた。
《「もうため息しか出ない」「もう悲しいわ」と語ってくれた。突然の災害だけどやり切れない思いを感じた》。9月29日付の日記にこう書き残した。
地震から間もなく1年。今後も被災地で健康指導を続け、関連死の防止を目指す。「避難生活が長期化し、精神的なケアも重要になってきている」とし、息の長い支援の必要性を訴える。日記も継続し、災害医療の研修会などで内容を共有していくつもりだ。
近年、列島各地では災害が相次ぎ、いつ「第二の能登半島」が生まれてもおかしくない。南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が発表された8月には、日記に《いま一度「備える」こと、「動ける」ことを考えておきたい》とも記していた。小畑さんは「いざという時の対策に(日記を)役立ててもらいたい」と語った。(秋山紀浩)