中国のAI大手創業者の未亡人がビリオネアに、資産は約2350億円
中国の人工知能(AI)大手、センスタイム共同創業者の湯曉鴎(タン・シャオオウ)の未亡人である楊秋美(ヤン・チウメイ)が、同社の株式を相続したことが香港証券取引所への届け出書類から判明した。10月2日の終値に基づくこの持ち分の価値は、約16億ドル(約2350億円)で、現在59歳の楊は新たにビリオネアの仲間入りを果たした。 楊は、センスタイムの約20%の株式を相続した。彼女の夫の湯は、2022年12月に55歳で亡くなったが、その際の彼の推定保有資産は11億ドル(約1613億円)とされていた。センスタイムは、2021年12月に香港市場で7億4000万ドル(約1085億円)規模の新規株式公開(IPO)を行ったが、その数カ月後に湯は、フォーブスの香港の50人の富豪ランキングに初登場していた。 2014年にセンスタイムを共同創業した湯は、同社を顔認識やコンテンツ生成、自動運転などのさまざまなアプリケーション向けの技術を提供する中国最大級のAIソフトウェア企業へと成長させた。 湯の未亡人である楊は、センスタイムの役職には就いていない。彼女は、2022年に香港証券取引所の運営者である香港交易所に入社し、現在はマネージングディレクター兼CEOアドバイザーとして、香港取引所の中国本土の子会社や最高位幹部の活動を監督している。楊は以前、投資ファンドの業界団体であるInvestment Company Instituteのアジア太平洋CEOを務めていたほか、中国証券監督管理委員会(CSRC)の投資ファンド監督部門の副部長も務めていた。 センスタイムは、楊の資産についてのコメント要請に応じなかった。 国営メディアの中国基金のインタビューによると、貧しい家庭で育った楊は、幼少期には家計を助けるために薪や炭を集めていたというが、最終的に北京大学に入学し、経済学の学士号と修士号を取得した。彼女はその後、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校で博士号を取得した。 香港市場に上場するセンスタイムの株価は、ここ1年で約23%上昇しており、同社は中国がAI分野で主導権を握るための国家戦略における最も明るい希望のひとつとなっている。バイドゥなどの中国のハイテク大手とともにAIの競争に参加したセンスタイムは、7月にOpenAIの最新モデルであるGPT-4に匹敵する能力を持つと主張する大規模言語モデル(LLM)のアップグレード版をリリースした。
Zinnia Lee