【高校野球】常に求めるのは「甲子園基準」 創志学園の門馬敬治監督が短期間で成果を残せた理由
技術以前の取り組み
当たり前のことを、当たり前にする。常に求めているのは「甲子園基準」。 創志学園高野球部のテーマだ。活動拠点の赤坂グラウンドは、緊迫感にあふれていた。極端な話、仮に明日、センバツ初戦が組まれても、心身ともスタンバイは十分にできている。 朝8時に練習スタート。定期試験後の12月9日以降、朝から夕方までの強化練習が年末まで20日間続き、疲労はピークだった。しかし、そんな言い訳は通用しない。新3年生25人、新2年生15人は、約90分に及ぶウォーミングアップ兼強化トレーニングを全力で消化。寒さを吹き飛ばすほどの熱気が満ちていた。 2022年8月の新チームから指揮する門馬敬治監督が、このメニューを陣頭指揮。「さあ、行くぞ!! 気持ちが足りない。全然、足りない」と鼓舞。大人が本気の姿勢を見せれば、部員たちのボルテージも自然と上がってくる。甲子園は特別な場所ではない。常に大舞台と同様のマインドを維持して「試合のための練習」を積んできた。選手たちの生きた目を見れば、本気度が伝わってくる。 門馬監督は2021年7月まで母校・東海大相模高を率い、春3度、夏1度の甲子園制覇へと導いた名将である。戦いの場を、縁もゆかりもない岡山へ移して、約1年3カ月で結果を出した。今秋の中国大会準優勝により、来春のセンバツ甲子園出場を有力の立場とした。 なぜ、短期間で、成果を残せたのか。 技術以前の取り組みである。「野球は人間がやるスポーツですから。野球はいずれやめる時期が来るが、人間はやめられない。人としての姿勢が問われる」。門馬監督は就任以来、教育に心血を注いだ。単身赴任の指揮官は寮生活の細部まで、子どもたちと真正面から向き合う。整理整頓、時間厳守、規則正しい生活サイクル、学校授業の充実。当たり前のことを、当たり前にできる集団を訴えた。赤坂グラウンドは甲子園。メニューとメニューの間が迅速。とにかく、テキパキとしている。全国舞台へ足を踏み入れてから雰囲気に圧倒され、慌てているようでは、勝負にならない。 心が育てば、自然と野球の技術は上がっていく。学校が変わっても、人は変わらない。門馬監督が前任校から一貫としてきた、「アグレッシブベースボール」を新天地でも貫いている。同校の資料によれば「『攻撃が最大の防御』という門馬の恩師、原貢監督からの言葉を承継。攻撃的野球。積極的組織」とある。