（ブルームバーグ）： パナソニックが９月に発売したヘアドライヤーは８万円台と、高価格帯の商品が増えている美容家電市場でも強気の価格設定だ。高級ドライヤー市場を開拓してきた英家電メーカー、ダイソンの軽量モデルと比べても約５割高い「超高級」ドライヤーは、消費者に刺さるのか。

「ナノケア アルティメイト」の販売価格は税込み8万4150円と、2022年に発売されたモデルの２倍以上だ。ＳＮＳでは、高いといった声や、使用した感想として髪の毛が変わる、価値はあるといった反応が上がる。

家電市場は長く停滞しているが、美容関連製品だけは例外だ。調査会社の富士経済は、ヘアドライヤーについて23年の国内市場規模は前年比32％増の560億円と推計しており、25年には715億円まで拡大すると予測する。従来品に比べ価格帯を大きく引き上げた超高級ドライヤーが消費者に受け入れられるかは、美容家電市場の今後を占う試金石にもなりそうだ。

市場が拡大する一方、パナソニックにとっては新規参入企業にシェアを奪われる局面が続いていた。もともとドライヤーの高級機市場で約９割のシェアを誇っていたというが、ＭＴＧやヤーマン、ダイソンなどの台頭で６割程度まで落ち込んでいた。パナソニックＨＤのビューティブランドマネジメント部の神本暁部長は新モデルに対して、台数よりも独自技術をアピールし、ブランドイメージを高める役割を期待する。

記者がレビュー用に新モデルを借りて２週間使用したところ、髪のまとまりやすさを強く実感した。妻は乾かす時間が３分の１程度になり全体的にしっとりして指通りがよくなったと言い、娘の髪は格段に落ち着くようになった。パナソニックＨＤによると、新モデルは髪に潤いを与える微粒子の噴射量が増えたほか、速乾性能は1.5倍になったという。

半面、髪のボリュームアップに使うアタッチメントは使いやすいとは言いがたかった。温風の出口が限られているため、正しく装着して使う必要があるが、それが簡単ではなかった。手で位置を調整できるものの、ドライヤーを使いながらだと先端部分が高温になるため注意する必要があった。

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