ホーバスジャパン2期目に不安「こんなバスケをしていたらダメ」 ネクスト河村勇輝は育つのか
【ホーキンソンが驚いた18歳の能力】 ただし日本は、そうした世界の舞台で戦える選手の絶対数が足りていない。パリ五輪では4人が30分以上の平均出場時間を記録(河村も29.7分)し、彼ら以外で10分以上コートに立った選手は2名しかいなかった。 起用が偏った理由について、ホーバスHCは対戦相手とのマッチアップなど「いろいろな事情があった」と言うにとどめているが、休む間もなく試合が続く世界大会において、強豪の国々は勝ち上がるために選手の出場時間をマネジメントしながら戦うのが常である(パリ五輪で平均30分以上出場したのは日本の4選手を含めて12名しかいなかった)。日本が選手層に厚みを加えることは、世界で戦っていくうえで間違いなく必須の要素だ。 2013年のA代表デビュー以来、日本の主力として長年活躍してきた比江島が今回のウインドウをもって代表から身を引くことを示唆している。しかし、34歳の比江島がほかの選手からの突き上げを食らって判断したのかといえば、そうではない。それは当人の「今、負ける気はさらさらない」という言葉にも表れている。このことからも、層が足りていないことは明らかだ。 グアム戦で登録メンバーに入った18歳の渡邉伶音(れおん/福岡大学附属大濠高校/C)は、204cmのビッグマンながら機動力と柔らかな3Pシュートを打つことができる。試合が接戦となってしまったために出場機会はなかったが、ホーキンソンが「18歳の頃の自分を見ているようだ」と表現するほど将来性は高い。 パリ五輪の代表メンバーに選ばれた20歳のジェイコブス晶(あきら/ハワイ大/SG・SF)や、21歳の山﨑一渉(いぶ/ラドフォード大/SF)といった海外の大学でプレーする若者たちの成長にも期待したい。リバウンドやリング側からの得点が得意な渡邉飛勇(信州ブレイブウォリアーズ/C)は、渡邉伶音やジェイコブスらの若い才能が花開けば「日本のバスケットボールは爆発的に成長するはずだ」と話した。
【ネクスト河村勇輝は出てくるのか】 若い才能を見つけ出し、厳しい指導で育んでいくホーバスHCの力は確かだ。数年前まで無名だった吉井は、所属クラブで毎試合数分しか出番がなかったところから台頭し、パリ五輪では全試合に先発出場しながらコートに立ち続け、その精神性やプレーぶりはホーバスジャパンをもっとも体現する存在となった。 また、アシスト重視だった河村が得点意識を高めるようになったのも、ホーバスHCの厳しい指導あってこそと言える。彼らのような選手は簡単に出てこないかもしれないが、次の吉井、次の河村の出現を期待したい。 ◆後編につづく>>
永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka