「もしトラ」見据えた「麻生×トランプ会談」 トランプタワー内部取材を許されたカメラマンが見たメディア戦略の巧みさ
2024年4月23日、自民党麻生副総裁がニューヨークにあるトランプタワーを訪ねて行われた「麻生×トランプ会談」。11月の大統領選でのトランプ前大統領の返り咲きの可能性も見据えた会談で、どんな話し合いが持たれるのか。多くのメディアの関心が寄せられるなか、私はトランプタワー内での取材を許された数少ないカメラマンの1人として、エントランスでの二人を間近に撮影した。 (NNNニューヨーク支局 カメラマン・小松亨)
■トランプ陣営の“親切”なメディア戦略
取材を許された日本メディアは4社のみ。4月23日午後4時すぎ、指定通りにトランプタワーを訪ねロビーに通されると、トランプ陣営の報道担当者が笑顔で出迎え、撮影の流れを丁寧に説明してくれた。担当者は「答えるか答えないかは彼ら次第だけど、二人が入ってきた後は自由に質問してくださいね!」とまで私たちに呼びかけた。 取材にあまり制限を設けず、陣営としてメディアに対して親切な印象を与えようとしている様子がうかがえた。私たちが2人を待ち構えるトランプタワーのエントランスは非常に暗く、撮影に影響がありそうだったため、カメラマン同士で照明について確認していた。すると私たちの困った様子を察してか、どこからともなく撮影用の照明が運び込まれた。その手際のよさからもトランプ陣営のしっかり準備されたメディア戦略が垣間見えた。
■トランプ前大統領自らメディアと対話 与えたい好印象?
午後5時50分ごろ、トランプ前大統領は麻生副総裁の到着前にエントランスに現れ、私たちメディアと一緒に数分待機する状況となった。陣営の報道担当者が「今日は日本からも多くのメディアが来ています!」と話すと、トランプ前大統領は機嫌よさそうに私たちに話しかけてきた。 「私は日本が大好きだ!」 「日本の調子はどうだ?」 麻生副総裁の到着前に、まさかトランプ前大統領と会話をする機会があると思っておらず、私たちが少々戸惑っていると、 「今は円安が大変だ。でも、それは日本にとっては大きなアドバンテージだ」 「日本には本当に多くの観光客が来ているよね。きょう見たよ」 などと、トランプ前大統領は自分から私たちに会話を仕掛けてきた。実にフランクな話しぶりだ。日本のことを気にかけているということをアピールし、日本メディアに対して好印象を与えたい様子だった。