企画の中身はそっちのけ⁉...アメリカの投資家に評価される、日本では「ありえない」起業家の素質
日本とアメリカの違い
日本の一般企業では社内起業での失敗は出世の道が絶たれ、「失敗した人」とマイナスに評価されがちです。しかし、失敗は必ずしもそんなネガティブな側面ばかりではありません。むしろ「この方法ではうまくいかなかったのだ」と成功への布石だと考えるべきなのです。 複数のアメリカの投資家は、起業家のプレゼンテーションのディテールにはあまり固執しないといいます。事業計画なんて修正されていくし、将来像なんて市場環境でどんどん変わっていく。描いた計画通りに成功する保証なんてない。 これはプレゼンする企画に意味がないということではありません。解決する問題や、ビジョンは大事です。その上で、彼らは、起業家そのものを見ています。この企画は儲かるのかではなく、「この人物は信頼できるのか」です。 信頼というと抽象的に感じるかもしれませんが、ちゃんとコミュニケーションが取れるか、聞く耳があるか、質問に対して的確に答えを返してくるか、そして「過去の失敗から学んでいるか」などが総合されて「信頼」になります。 中には失敗を繰り返して何度もプレゼンをしている起業家もいます。相対する投資家も「君の話なら投資する」と企画の中身はそっちのけで投資を決める人もいます。もちろん、何度も何度も失敗続きでは不利でしょうが、失敗そのものよりも「失敗を隠すこと」「失敗から学ばないこと」がマイナスに捉えられています。 いわば、過去のビジネスの失敗は、戦歴です。武勇伝(Failure is a token of pride)でもあります。だからMVFのイベントでも誇らしげに語るのです。あなたなら、戦場に出たことがない新兵と、何度も負け戦を経験しているが生き残っているベテラン、どちらと一緒に戦場にいきたいですか。私は間違いなく後者です。 失敗することが悪いのではなく、失敗から学ばないことが悪いのです。失敗こそ、学びの宝庫なのですから。
山川 恭弘