日本経済の課題を議論 財務省懇談会が成長分野への労働力移動などの処方箋を提示
財務省は18日、国際収支に関する有識者懇談会を開き、日本経済の課題と処方箋について議論した。近く報告書を取りまとめ、公表する。成長産業に労働力を集め、日本全体の生産性を高めていくことなどが盛り込まれる見通しだ。日本経済が直面する課題について、国民や企業の理解を促すとともに、構造改革への機運醸成につなげる。 懇談会を主催する神田真人財務官は記者団の取材に応じ、「危機感が共有された一方、しっかり改革をすれば明るい将来も可能だとの前向きの議論も多かった」と総括した。 海外とのモノやサービス、投資の取引状況を示す経常収支の黒字額は令和5年度に過去最大の25兆3390億円を計上。かつては自動車や家電の輸出で稼いでいたが、近年は海外投資によって稼ぐ構図へと変化している。 こうした中、懇談会では、輸出産業の国際競争力の低下や巨大IT企業への利用料の支払いが膨らむ「デジタル赤字」の拡大、化石燃料の輸入依存、国内産業の空洞化といった問題意識が共有された。 これらの解決策としては、賃金の高い成長分野で働く人を増やしていくほか、再生エネルギーの普及拡大などの意見が出されたという。 懇談会は民間エコノミストら20人を委員に迎え、3月以降、非公開で議論を重ねてきた。最終回のこの日は予定を1時間ほど超過して白熱した議論が交わされたという。