カナダ中銀4年ぶり利下げ、G7で初 追加緩和示唆
Promit Mukherjee David Ljunggren [オタワ 5日 ロイター] - カナダ銀行(BOC、中央銀行)は5日、政策金利である翌日物金利の誘導目標を予想通り0.25%ポイント引き下げ4.75%とした。利下げは4年ぶりで、今回のインフレ局面で利下げに転じるのは主要7カ国(G7)の中央銀行として初めて。中銀はインフレ緩和が続けば追加利下げの可能性があるとした。 マックレム総裁は「基調的なインフレが緩和しているというさらなる持続的な証拠により、金融政策はもはやそれほど制約的である必要はない」と指摘。「インフレが引き続き緩和し、インフレが持続的に2%の目標に向かっているというわれわれの自信が強まり続けるなら、政策金利のさらなる引き下げを予想するのは合理的だ」とした。 ただ追加利下げの時期は、インフレ低下傾向が続き、経済が中銀の予想に沿って推移するかに左右されると指摘。「われわれは金利決定を会合ごとに行っている」とし、インフレ対策のさらなる進展は不均一になる可能性が高く、リスクは残っていると語った。 米連邦準備理事会(FRB)が年内に実施すると予想されている利下げの回数は1回。エコノミストの間では、米国の金融政策から乖離すればカナダ中銀にとりリスクになるとの見方が出ている。 これについてマックレム総裁は「米国から乖離できる程度に限界があるが、その限界に近づいてはいない」と述べた。 <利下げペースは緩やか> カナダのインフレ率は鈍化しつつあり、4月の消費者物価指数(CPI)の前年同月比上昇率は2.7%と、2021年3月以来、3年1カ月ぶりの低水準を付けた。 中銀は基調的なインフレ指標は一段と良好になっていると指摘。マックレム総裁は、利下げペースは利上げを実施してきた際のペースよりも緩やかになるとし、金利水準は新型コロナウイルス感染拡大前よりも高い水準に落ち着くとの見方を示した。 また、経済は供給過剰の状態にあり、全体的なインフレ率が引き続き低下したとしても成長の余地があると言及。需給のミスマッチ、インフレ期待、賃金上昇、企業の価格設定を引き続き注視していくと改めて強調した。 経済がソフトランディング(軟着陸)する可能性はあるかとの質問には「滑走路は見えている。着陸させる必要がある」と応じた。 <市場は7月利下げ想定> デジャルダン・グループのマクロ戦略責任者ロイス・メンデス氏は「カナダ銀行が7月に再び行動を起こすとの確信が高まっている」と指摘。CIBCのシニアエコノミスト、アンドリュー・グランサム氏も7月の利下げを予想し、今年は合計4回の利下げが見込まれるとした。 金融市場が織り込む、カナダ銀行が来月政策金利を4.50%に引き下げる確率は35%となっている。 カナダドルは序盤の上昇を吐き出し、一時0.4%安の1米ドル=1.3733カナダドルとなった。 次回会合は7月24日で四半期予測が発表される。